B前期選抜における上位校の総合問題の傾向
前期選抜の筆記試験は、総合問題と、基礎力検査があります。
しかし総合問題は、実技検査のある区分以外は殆どの高校で実施されます。
また静岡市内の普通科で基礎力検査があるのは城北高校のみで、その試験も総合問題との併用で行われます。
つまり総合問題は、調査書に並ぶ重要資料となります。
各高校独自に作成される総合問題は、高校ごとにレベル・内容が当然異なります。
また時間配分や科目分担も各高校で異なる為、【例、静岡高校:国・英・社120分、
数・理90分、 清水東高校:国40分、数・社、理・英(各:普60分、理数70分)】
科目毎の時間配分が重要になってきます。
総合問題が導入されて今年で4年目。過去3年間の問題を見ることで、各高校の特色も徐々に見え始めてきました。そこで過去問から見られる傾向を、各科目の講師が研究しました。
今回は、静岡高校と、清水東高校について見てみました。
《静岡高校》
英語
出題傾向は物語が多く、文章自体も読みやすいオーソドックスな受験問題と言える。単語量と長い熟語は多い。長い英作文を求めてくる。問題自体にひねりはないが、文章の内容を確実に理解していないと導けない問題しか出ない。そのため確実に点を取っていく必要がある。
対策としては、長文の全体を確実に理解する読解力、長文の英作文の作成に力を入れることが良い。
数学
基本事項は完全に把握していなければいけない問題であり、一般的な入試問題の発展した問題が多くしっかりとした受験対策が必要であり、常に発展レベルの問題演習が必要である。また、三平方の定理を非常に使用する問題が多く図形関係の問題の演習が必要である。(図形の応用問題 三平方の定理)
国語
形式は毎年大問が2問。大問1は必ず論説文。2は論説、古典、物語と毎年傾向が異なる。大問1では必ず漢字の読み書きがあり、対義語、ことわざ、語句・用語、接続語の設問などがある。大問1,2通じて五十字以上の記述は殆ど無く、筆者の主張や具体例を示す設問など、基本に忠実な試験問題といった印象を受ける。 問題の形式にあった読解力、表現力があれば問題ない。
理科
大問は2〜3問。物理・化学・生物・地学の各分野で出題される。削除内容では15年に浮力が出題されたことがあるが、削除部分については文章中に補足説明が記載されていたり、聞いている内容自体は教科書範囲の部分であったり、しっかり問題を読み込めば解けない問題ではない。それ以降は範囲内から出題されている。内容は語句問題から考え方、スケッチにグラフまで幅広い。また必ず計算問題(湿度、電流等)は出題される。様々な形式の問題をこなしておく必要がある。大問が少ない分、直並列混合回路や、実際の製鉄になぞらえた化学問題など発展的な内容を問われることがあるので、応用力も養っておく必要がある。
社会
歴史の正誤問題で、高校内容のものが必ず選択肢に入る。また憲法の判例などでもその傾向はあり、発展的な問題が多いように見受けられる。しかしその時代の人物関係などを理解していれば中学の教科書内容で判断できる。また問題文で何を言っているのかが正確に読み取る読解力があれば答えは導きだせる。わからない言葉に惑わされず、正しい知識が身についていることが第一である。
また清水東と共通して、アフリカ・ロシア・東ヨーロッパなど一般的でない地域の地理の問題が出題される可能性があるため、幅広く確認しておく必要がある。
《清水東高校》
英語
普通科・理数科で問題は共通。単語量が多く、教科書以外の単語も出る。また教科書に多い会話表現から発展し、論説文のような形式になっているため、文章構成が複雑で、文法も幾つかの形が複合して成り立つ。この辺りは学力調査や後期試験の内容とは出題形式が異なる。対策としては、単語は教科書に固執せず、どんどん自分のものにしていくこと、文法対策は英語訳をこなせるようにすること、読解は一般的な会話文より、読解的な文章理解に力を入れる方が良い。
数学
普通科と理数科では普通科の問題に1問から2問を増問したものが理数科の問題になり、普通科の問題は大きく4設問で、全問で10問〜11問が今までの出題形式である。
問題傾向に関しては過去3年間しか実施されていないので、傾向と言いにくいが、一般的な入試問題よりかなり考えさせる問題が多く、答えが必ずしも1つとは限定できない設問があり、時間配分に注意が必要である。また、1問は必ず作図があり、非常に難問である。
理数科は普通科の最後の設問に理数科用に増問してあり、答えを導くのには非常に困難である。考え方の柔軟性(視点・発想)を要求されているように考えられる。一般的な受験勉強+柔軟性を育成する受験勉強が必要である。(発想の柔軟性を必要とする問題 図形問題)
国語
普通科・理数科で問題は共通。文章の種類は論説文で、筆者の考え、意見の相違点などが問われる。また毎年大問の最後に作文の問題が出題される。文章の内容に即した自分の考えを聞いてくるので、文章構成力はもちろん、日頃から自分の考えを明確に文章に出来る力が問われてくる。
語句問題は、品詞の活用・分類、用語、歴史的かなづかいなど国語全般の知識に及ぶ。
対策としては、語句問題の完成度を高める。論説文の読解方法を理解し、適切な回答が出来ること。様々な出来事に対して自分の意見を明確に持ち、伝える作文力を身に付けることが良い。
理科
普通科と理数科で問題が異なる。しかし大問や問題数が普通科に追加される形で大抵の問題は共通。出題範囲は中学の内容で削除内容は無い。ただし問題は記述形式が多く、理由・自分の考えを問われる問題が多い。また問題はその範囲の理科の内容に限らず論理的な考えを聞いてくることもあり(15年度・電流)、計算問題は毎年必ず出題される。
理数科で追加される問題は、必ずしも正答が出ないものも出題される。これは高校内容だからというわけではなく、将来理数系の研究に進もうとする素質のある生徒を求める生徒像とするため、その生徒の発想の豊かさや、論理的に考える力を問うための問題だからである。
対策としては、記述問題は問題の事象全体の仕組みが理解していないと書けない。内容をしっかり整理して、的確な語句を用いて書く練習が必要。また論理的な問題は、正解がたとえわからなくても白紙は厳禁。なぜ自分はこの問題に関してそのように考えたのかを明確に表現することが重要になる。
社会
普通科・理数科で問題は共通。教科書の内容からまんべんなく出題される。発展的ではないが、細かい内容を正誤形式で問われる。資料問題もよく出されるため、正確な図表の読み取りが必要。また、社会には珍しい計算問題が出題されるのが特徴。しかし時差や人口密度など範囲は限られる為さほど問題はない。選択問題では特定の国に関する地理が選出されるので、各国の特徴を押さえると良い。
対策としては、発展部分は少なく、教科書の内容をいかに完成度を高めて理解しているかが求められる。よって中学の内容をしっかり押さえておけば失点を防ぐことができる。
※筆記試験は当日の一発勝負ですので、どうしても緊張は避けられないかと思います。
しかし予め問題の傾向を予想しておくことで、少しでもゆとりを持てればと思います。
また今まで自分がどれだけ頑張ってきたかがゆるぎない自信となることでしょう。
自分の力を十二分に発揮していただきたいと思います。