SPEEDの研究

天竜フットサルリーグ技術委員会「SPEED」研究第5班、第6班共同研究

 

 SPEEDといってもアイドルグループのSPEED(以下スピード)ではない。まあ天竜フットサルリーグにおいてSPEEDと言えば、第11回まで唯一フル出場、しかも優勝2回を数える強豪チームのSPEEDと察しがつくだろう。

 SPEEDは第11回大会では3位であった。第1,2回大会を連覇したが,その後優勝はない。一時期低迷したが最近はその強さを復活しつつある。

 SPEEDは前述したようにスピードと比較されることが多い。名前が一緒だからだ。スピードファンがフットサルチームSPEEDを結成したに過ぎない。特に天竜フットサルリーグは4人制であるため、レギュラー選手がスピードのそれぞれに対比されることが多い。ここで確認すると第11回大会におけるSPEEDのレギュラー選手は、FW村松孝也、MF鈴木章浩、鈴木史、DF佐野英敏である。スピードの構成員は今井絵理子、島袋寛子、上原多香子、新垣仁絵である。SPEEDの選手はスピードのそれぞれに対比される。村松は今井絵理子、鈴木章は島袋寛子、鈴木史は上原多香子、佐野は新垣仁絵。心理検査のなかにTATというものがある。被験者に絵を見てもらい、その絵について物語を作ってもらう検査である。その中であごのするどい人を「この人は魔女だ。」と反応すると被験者は精神分裂病圏だと解釈されることがある。「今井絵理子のあごは魔女のようだ。」と考えている人がいたら、その人は精神分裂病圏に入る、かも知れない。今井絵理子ファンの方ごめんなさい。許してちょ。ここで言いたいのは精神分裂病に関することではない。毎週金曜夜9:00放送の「L×I×V×E」のことである。この番組に今井絵理子が出演している。そう言えばもう終わってしまった。いやここではその話をしたいわけではない。話を元に戻そう。今回はSPEEDの考察である。SPEEDとスピードはある目的を達成するために結成された団体であることは同じであるが、構成としては完全に異なる。スピードの構成員(今井、島袋、上原、新垣)が同列であるのに対して、SPEEDの構成員(村松、鈴木章、鈴木史、佐野)にはヒエラルキー(階層)が存在する。それはSPEEDの目的がフットサルの試合に勝つためである。それは組織として成り立たなければ試合に勝つことはできないからである。このように考えるとSPEEDはスピードと対比するべきではないと思われる。

 SPEEDとは一体何だろう。ヒエラルキーという概念から考察すると、SPEEDが対比されるものはバビル2世である考えられる。バビル2世もSPEEDと同じく4人?である。バビル2世、ロデム、ポセイドン、ロプロスの4人?である。心理学的観点からすると4という数字は完全という意味を示す。バビル2世が4ならばSPEEDのレギュラーメンバーも4である。3は不足を意味し、5は余剰を意味する。フットサルを3人でやれば、人数が足りず苦戦するし、5人になれば1人は補欠となる。「♪♪砂の嵐に守られた、バビルの塔に住んでいる、超能力少年バビル2世、地球の平和を守るため、3つのしもべに命令だ、やあ!、怪鳥ロプロス空を飛べ、ポセイドンは海を行け、ロデム変身地をかけろ♪♪」SPEEDの選手はバビル2世の登場人物に対比される。ロプロスは村松である。村松はSPEEDの必殺の飛び道具であり、通算得点ランキングのトップを走る。また、ロプロスが活躍する空は、心理学的には自由を意味する。そう言えば村松のプレイもどこか自由を感じる。いや、自由というより、勝って気ままと言うべきか。ポセイドンは鈴木史である。バビル2世のしもべの大黒柱はSPEEDの大黒柱でもある。ポセイドンはそもそもギリシャ神話では全能の神である。鈴木史もSPEEDにおいてマルチぶりを発揮し、ポセイドンのような全能の神になっている。また、ポセイドンが本来活躍する海は心理学的には無意識を意味する。鈴木史の活躍は意識上に投影されるものではなく、無意識化で行われる。鈴木史が活躍するのは得点の1歩手前、フットサル用語ではアシスト、ようするに天竜フットサルリーグにおいて数字として現れない場所である。得点が意識の象徴であるとすれば、それこそアシストは無意識の象徴と解釈される。また、海はユング心理学の原型に照らせば、全てを飲み込むグレートマザーであるといえる。SPEEDの全てを飲み込む側面もあるし、逆に敵チームを飲み込む側面もある。この力を注意して使用すれば前述したように敵チームを飲み込む(敵チームに勝利する)ことが出来るが、失敗すればSPEEDを飲み込んでしまうこと(SPEEDの崩壊)も考えられる。ロデムは佐野である。ロデムは人間的に若いバビル2世に助言を与える存在であり、バビル2世の補償的役割を占めている。それはユング心理学では老賢者を意味する。老賢者は、主が困った時に助言し、主を正しい方向に導く。SPEEDがピンチの時には佐野が助言し、チームを救うのである。そしてバビル2世は鈴木章である。鈴木章は実質的なSPEEDの主人公である。バビル2世は3つのしもべに命令し、地球の平和を守る。鈴木章は3つのしもべ(村松,鈴木史、佐野)に命令し,統括し,SPEEDの勝利へと導く。バビル2世の敵はヨミである。ヨミはその超能力を用い地球征服の野望に燃える。しかし、そこにバビル2世が立ちはだかるのである。バビル2世だけではヨミに太刀打ちできない。バビル2世には3つのしもべと最も強力な援軍であるバビルの塔(マザーコンピューター)が助太刀する。マザーコンピューターが勝利の方程式を導き出し、バビル2世へ伝達し、勝利を得る。バビル2世において敵はヨミであったが、SPEEDの敵はどこだろう。これは簡単に察しがつく。FCアイラである。FCアイラはSPEEDから見ればヨミであり、絶対に負けることができない相手である。FCアイラはヨミを擬人化した存在であり、概念的にはバビル2世であるSPEEDと対峙する存在である。バビル2世が超能力を使いヨミと対決する。しかし、超能力を使用したあとには非常に疲れが出る。バビル2世がマザーコンピューターに何故疲れが出るのかを聞いた時にマザーコンピューターは答えをはぐらかしてしまう。実際ヨミはバビル2世の最終回で、超能力の使いすぎによる老化現象を起こしてしまった。バビル2世は老化したヨミを倒して地球の平和を守るのと同時にヨミから超能力の使いすぎによる老化現象を学んだ。SPEEDにおいては、バビル2世である鈴木章が超能力を使用した時、鈴木章は実際にはバビル2世のような超能力は使えないが、すなわち自らの能力以上の仕事をこなした時(能力を超えるという意味では超能力)にSPEEDの強さは強大なものになる。しかしその反面諸刃の剣である超能力を使いすぎた時には自己をいやSPEEDを破滅へと導く。第11回大会では鈴木章は超能力を使い自己最高の2点を奪った。これがSPEEDの破滅へと導くカギになるのか、それともまだ超能力の一端を見せていないのか。それは鈴木章にしかわからない。鈴木章の能力を統制するのは、バビル2世の補償的役割であるロデム佐野である。佐野が鈴木章の能力を統制することで、SPEEDの戦力が安定する。鈴木章がヨミのように暴走してしまったら、SPEEDは老化し,チームの力を失うだろう。

 SPEEDはこのようにバビル2世を用いて説明することによりそのモデルが分かりやすくなる。フットサルにおける戦術的考察ではなく、SPEEDそのものの構造を考察することにより、大きな理解が得られた。これは学術的にも非常に有意義なことである。

※「スピード」と「バビル2世」を無許可にて引用していますが、利潤を得るために執筆しているわけではありませんので許してちょ。

 


「論文(サッカー論考)」のページへ