「AKB48 41stシングル 選抜総選挙」開票結果に関する考察

 

「AKB48 41stシングル 選抜総選挙」(以下第7回選抜総選挙)が平成27年6月6日に開票され、指原莉乃(HKT48 TeamH)が史上最多となる194,049票を獲得し、第5回以来2回目の1位となった。高橋みなみの卒業やAKB48以外の姉妹グループの躍進など話題が多い選抜総選挙であった。開票後一ヶ月以上過ぎ、AKB48の周辺もだいぶ落ち着いてきたため、一度考察しておく。

 

第7回選抜総選挙では2,735,423票(公表された80位までの総数)が投じられた。第6回選抜総選挙は2,277,632票であり、457,791票増加した。

 

 まずは、増加した457,791票がどのように投票(配分)されたかを調べた。表1.得票数と差異の通り。なお表中の第6回得票数は氏名ではなく順位に紐づいている。第6回選抜総選挙1〜16位の獲得票が1,119,837票、第7回選抜総選挙1〜16位の獲得票が1,478,955票であり、359,118票伸びている。第7回選抜総選挙で伸びた457,791票のうち78%が上位16名に集中している。シングル選抜メンバー争いに票が多く流れ、17位以降に票は流れなかった。昨年発表した「AKB48選抜総選挙の分析≪神7の崩壊≫」では、「ファンにとってメンバーが「神7」に入るかどうかは、総選挙の焦点にはなっていない。」と結論付けた。今回の結果からは、シングル選抜メンバーに入るかどうかが焦点になっており、それはメディアに多く登場することが出来るかどうかが分かれ目になっている。神7はそもそもファンが作った非公式な定義であり、7位だろうが8位だろうがメディアでの露出度という点では大きな差はない。しかしながらシングル選抜メンバーに入るかどうかの境目である16位と17位ではメディアでの露出度は格段に違う。神7という名誉よりも、シングル選抜メンバーを取りに行くという現実的目標がファンやメンバーの眼前にあっと言えるだろう。

 

表1.得票数と差異

順位

氏名

第7回得票数

第6回得票数

差異

1

指原莉乃

194,049

159,854

34,195

2

柏木由紀

167,183

141,954

25,229

3

渡辺麻友

165,789

104,361

61,428

4

高橋みなみ

137,252

90,910

46,342

5

松井珠理奈

105,289

69,790

35,499

6

山本 彩

97,866

67,916

29,950

7

宮脇咲良

81,422

67,591

13,831

8

宮澤佐江

75,495

62,899

12,596

9

島崎遥香

73,803

57,388

16,415

10

横山由依

63,414

48,182

15,232

11

北原里英

61,566

45,538

16,028

12

渡辺美優紀

55,715

44,749

10,966

13

松村香織

53,667

40,232

13,435

14

高柳明音

52,609

40,089

12,520

15

柴田阿弥

49,199

39,264

9,935

16

武藤十夢

44,637

39,120

5,517

1〜80

合計

2,735,423

2,277,632

457,791

17〜80位以降省略

 

 次に第7回選抜総選挙結果のローレンツ曲線を作成した。また比較として第6回選別総選挙の結果も掲載した。図1.第7回・第6回ローレンツ曲線の通り。結果として、グラフから第6回選抜総選挙よりも第7回選抜総選挙の方が、格差が大きくなっていることが分かる。

 

 

 図1.第7回・第6回ローレンツ曲線

 

 この格差を数値化するためにジニ係数を求めた。ジニ係数は不平等さを客観的に分析・比較する際の代表的な指標である。ジニ係数は下記の通りとなった。

 第6回選抜総選挙ジニ係数 0.406

 第7回選抜総選挙ジニ係数 0.429

第7回選抜総選挙ジニ係数の方が大きく、格差が広がっていることが分かる。ローレンツ曲線やジニ係数からもシングル選抜メンバーに票が多く集まっていることが分かる。

 

 次に得票率(得票数÷投票数)を計算した。表2.得票率と差異の通り。

3位渡辺麻友、4位高橋みなみ、5位松井珠理奈、6位山本彩の得票率が格段に伸びている一方で、16位武藤十夢から59位加藤夕夏までの得票率が第6回よりも低くなっている。上位に票が集まることにより、中位が沈み、格差が発生している。得票率が最も伸びたのは、3位の渡辺麻友であり、1.48%である。2位柏木由紀とは僅差であり、誤差の範囲内と言える(面倒くさくて有意差検定はやってません。)。また4位高橋みなみも1.03%の伸びを示しており、高橋は「卒業効果」による伸びとも言える。

 

表2.得票率と差異

順位

氏名

7回獲得票率

6回獲得票率

差異

1

指原莉乃

7.09%

7.02%

0.08%

2

柏木由紀

6.11%

6.23%

-0.12%

3

渡辺麻友

6.06%

4.58%

1.48%

4

高橋みなみ

5.02%

3.99%

1.03%

5

松井珠理奈

3.85%

3.06%

0.78%

6

山本 彩

3.58%

2.98%

0.60%

7

宮脇咲良

2.98%

2.97%

0.01%

8

宮澤佐江

2.76%

2.76%

0.00%

9

島崎遥香

2.70%

2.52%

0.18%

10

横山由依

2.32%

2.12%

0.20%

11

北原里英

2.25%

2.00%

0.25%

12

渡辺美優紀

2.04%

1.96%

0.07%

13

松村香織

1.96%

1.77%

0.20%

14

高柳明音

1.92%

1.76%

0.16%

15

柴田阿弥

1.80%

1.72%

0.07%

16

武藤十夢

1.63%

1.72%

-0.09%

17

兒玉 遥

1.61%

1.67%

-0.06%

18

須田亜香里

1.60%

1.59%

0.01%

19

峯岸みなみ

1.30%

1.52%

-0.22%

20

大矢真那

1.10%

1.49%

-0.40%

21

朝長美桜

1.03%

1.47%

-0.44%

22

木アゆりあ

0.99%

1.46%

-0.47%

23

谷 真理佳

0.95%

1.32%

-0.37%

24

古畑奈和

0.94%

1.32%

-0.38%

25

高橋朱里

0.93%

1.19%

-0.26%

26

小嶋真子

0.92%

1.07%

-0.15%

27

大場美奈

0.90%

1.04%

-0.14%

28

加藤玲奈

0.90%

1.04%

-0.14%

29

岡田奈々

0.85%

1.02%

-0.17%

30

高城亜樹

0.82%

0.97%

-0.14%

31

渕上 舞

0.82%

0.96%

-0.14%

32

田島芽瑠

0.81%

0.96%

-0.15%

33

穴井千尋

0.81%

0.92%

-0.11%

34

白間美瑠

0.79%

0.92%

-0.13%

35

藤江れいな

0.78%

0.91%

-0.13%

36

上西 恵

0.77%

0.90%

-0.12%

37

坂口理子

0.77%

0.85%

-0.08%

38

二村春香

0.75%

0.83%

-0.08%

39

内山奈月

0.75%

0.83%

-0.08%

40

矢倉楓子

0.74%

0.83%

-0.08%

41

多田愛佳

0.73%

0.82%

-0.09%

42

岡田栞奈

0.72%

0.80%

-0.07%

43

森保まどか

0.71%

0.78%

-0.07%

44

向井地美音

0.67%

0.77%

-0.10%

45

宮前杏実

0.67%

0.77%

-0.11%

46

神志那結衣

0.66%

0.77%

-0.11%

47

田野優花

0.66%

0.73%

-0.07%

48

木本花音

0.66%

0.72%

-0.06%

49

佐藤すみれ

0.64%

0.71%

-0.06%

50

佐々木優佳里

0.64%

0.70%

-0.06%

51

松岡菜摘

0.64%

0.70%

-0.06%

52

後藤理沙子

0.63%

0.68%

-0.04%

53

磯原杏華

0.63%

0.66%

-0.03%

54

小谷里歩

0.63%

0.66%

-0.03%

55

惣田紗莉渚

0.62%

0.64%

-0.02%

56

梅田彩佳

0.62%

0.64%

-0.02%

57

茂木 忍

0.62%

0.63%

-0.01%

58

渋谷凪咲

0.60%

0.62%

-0.02%

59

加藤夕夏

0.58%

0.62%

-0.04%

60

藪下 柊

0.57%

0.57%

0.00%

61

東 李苑

0.57%

0.57%

0.00%

62

加藤るみ

0.57%

0.56%

0.00%

63

山内鈴蘭

0.55%

0.56%

-0.01%

64

吉田朱里

0.55%

0.55%

-0.01%

65

斉藤真木子

0.55%

0.55%

0.00%

66

北川綾巴

0.54%

0.52%

0.02%

67

大森美優

0.54%

0.51%

0.03%

68

梅本まどか

0.53%

0.51%

0.03%

69

永尾まりや

0.53%

0.51%

0.03%

70

鎌田菜月

0.53%

0.49%

0.04%

71

石田晴香

0.52%

0.48%

0.04%

72

植木南央

0.51%

0.48%

0.03%

73

熊崎晴香

0.50%

0.47%

0.03%

74

谷川愛梨

0.50%

0.44%

0.06%

75

大和田南那

0.50%

0.44%

0.06%

76

竹内 舞

0.49%

0.44%

0.06%

77

石田安奈

0.49%

0.44%

0.05%

78

篠崎彩奈

0.48%

0.42%

0.06%

79

市川美織

0.48%

0.42%

0.06%

80

木村碧唯

0.48%

0.42%

0.06%

 

 合計

100.00%

 100.00%

100.00%

 

 

 次にチーム別の分析を行った。表3.チーム別成績の通り。

 開票当日や翌日のメディアを見ると、SKE48の躍進が伝えられた。それはグループトップの26人が選抜メンバーに入ったからである。しかしながら、得票数では、23人が選抜されたAKB48が997,682票でトップ、また一人当たりの得票数でもSNH48・NGT48を除けば、最も多い43,351票を獲得しグループトップとなっている。同様に平均順位でも36位とグループトップとなっている。躍進が伝えられたSKE48は得票数は第2位の682,468票であるが、一人当たりの得票数ではHKT48よりも下の26,249票となっている。また平均順位でもAKB48、HKT48に甘んじている。獲得した票が多くのメンバーに配分された形となっており、上位争いは出来ないが、結果多くのメンバーが選抜入りした形になった。HKT48は選抜人数こそ少ないが、一人当たりの得票数はAKB48に次いでおり、平均順位ではAKB48に肉薄している。HKT48の得票数はSKE48に大きく及ばないが、獲得した票がHKT48の上位メンバーに集中することで上位争いができるメンバーを輩出した。SKE48、HKT48は対照的な結果となっており、選抜総選挙の裏ではファンによる組織票の存在、選対本部の存在が浮かび上がってくる。どのようにしてメンバーを選抜入りさせるのか、SKE48、HKT48それぞれの戦略があり、戦略が結果に反映されたと言える。NMB48に関しては今後の奮起に期待したい。

 

 表3.チーム別成績

グループ名

得票数

選抜人数

得票数/人

平均順位

AKB48

997,682

36.5%

23

43,351

36

SKE48

682,468

24.9%

26

26,249

45

HKT48

557,023

20.4%

15

37,135

37

NMB48

361,809

13.2%

14

25,844

48

SNH48

75,495

2.8%

1

75,495

8

NGT48

61,566

2.3%

1

61,566

11

全体

2,735,423

100.0%

80

34,193

41

 

 

まとめ

NGT48キャプテンであり、第11位に入った北原里英が頑張った、以上。

 

 


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