2014FIFAワールドカップブラジル大会3

 

 

Optaからデータが提供されたため、分析した。

 

Optaから提供されたデータは大きく分けて、@ディフェンス、Aオフェンス、Bパス、Cファウルである。

今回の分析の視点は「GL突破」である。GLを突破したチームとGLで敗退したチームの分岐点を探るものである。またOptaから提供されたデータは各チームが行った全試合の集計された数字である。日本はGL3試合の集計データであり、ドイツはGLから決勝戦までの全7試合の集計データである。GLだけのデータを分析する方がGL突破の分岐点をより正確に分析できるのだが、OptaからGLだけのデータが提供されていないためどうしようもない。ただ、決勝トーナメントを含んだデータが対象としても、大まかな傾向は導き出せる。

なお、分析にはOptaが集計したデータに加え、当研究所が独自に計算したデータも含まれていることを付け加えておく。

 

@ディフェンス

表1.Optaディフェンス集計表

チーム名 失点数 1試合平均 無失点試合数 PK失点数 タックル タックル/試合 タックル成功 タックル成功/試合 タックル成功率 デュエル デュエル/試合 デュエル(勝) デュエル(勝)/試合 デュエル勝率 空中戦 空中戦/試合 空中戦(勝) 空中戦(勝)/試合 空中戦勝率
ドイツ 4 0.6 4 0 144 20.6 117 16.7 81.3% 733 104.7 388 55.4 52.9% 181 25.9 105 15.0 58.0%
アルゼンチン 4 0.6 4 0 151 21.6 118 16.9 78.1% 838 119.7 445 63.6 53.1% 173 24.7 86 12.3 49.7%
オランダ 4 0.6 4 2 136 19.4 106 15.1 77.9% 772 110.3 403 57.6 52.2% 195 27.9 109 15.6 55.9%
ブラジル 14 2.0 1 2 150 21.4 117 16.7 78.0% 881 125.9 476 68.0 54.0% 193 27.6 110 15.7 57.0%
コロンビア 4 0.8 2 0 99 19.8 71 14.2 71.7% 586 117.2 273 54.6 46.6% 123 24.6 54 10.8 43.9%
ベルギー 3 0.6 2 1 101 20.2 77 15.4 76.2% 621 124.2 327 65.4 52.7% 170 34.0 98 19.6 57.6%
フランス 3 0.6 3 0 80 16.0 64 12.8 80.0% 492 98.4 275 55.0 55.9% 139 27.8 84 16.8 60.4%
コスタリカ 2 0.4 3 1 103 20.6 81 16.2 78.6% 577 115.4 253 50.6 43.8% 172 34.4 69 13.8 40.1%
チリ 4 1.0 1 0 71 17.8 56 14.0 78.9% 502 125.5 237 59.3 47.2% 128 32.0 54 13.5 42.2%
メキシコ 3 0.8 2 1 59 14.8 45 11.3 76.3% 380 95.0 182 45.5 47.9% 116 29.0 51 12.8 44.0%
スイス 7 1.8 1 1 88 22.0 72 18.0 81.8% 467 116.8 225 56.3 48.2% 92 23.0 47 11.8 51.1%
ウルグアイ 6 1.5 1 0 74 18.5 55 13.8 74.3% 467 116.8 227 56.8 48.6% 143 35.8 73 18.3 51.0%
ギリシャ 5 1.3 1 0 75 18.8 60 15.0 80.0% 463 115.8 266 66.5 57.5% 116 29.0 74 18.5 63.8%
アルジェリア 7 1.8 0 0 93 23.3 71 17.8 76.3% 509 127.3 236 59.0 46.4% 154 38.5 63 15.8 40.9%
アメリカ 6 1.5 0 0 84 21.0 59 14.8 70.2% 475 118.8 242 60.5 50.9% 138 34.5 67 16.8 48.6%
ナイジェリア 5 1.3 2 0 77 19.3 60 15.0 77.9% 446 111.5 214 53.5 48.0% 115 28.8 58 14.5 50.4%
エクアドル 3 1.0 1 0 48 16.0 41 13.7 85.4% 327 109.0 149 49.7 45.6% 112 37.3 48 16.0 42.9%
ポルトガル 7 2.3 0 1 57 19.0 43 14.3 75.4% 314 104.7 143 47.7 45.5% 72 24.0 28 9.3 38.9%
クロアチア 6 2.0 1 1 48 16.0 36 12.0 75.0% 322 107.3 143 47.7 44.4% 106 35.3 50 16.7 47.2%
ボスニア・ヘルツェゴビナ 4 1.3 0 0 58 19.3 47 15.7 81.0% 321 107.0 161 53.7 50.2% 44 14.7 24 8.0 54.5%
コートジボワール 5 1.7 0 1 44 14.7 34 11.3 77.3% 312 104.0 147 49.0 47.1% 76 25.3 30 10.0 39.5%
イタリア 3 1.0 0 0 47 15.7 30 10.0 63.8% 273 91.0 135 45.0 49.5% 55 18.3 25 8.3 45.5%
スペイン 7 2.3 1 0 73 24.3 55 18.3 75.3% 309 103.0 171 57.0 55.3% 67 22.3 36 12.0 53.7%
ロシア 3 1.0 0 0 61 20.3 48 16.0 78.7% 333 111.0 155 51.7 46.5% 103 34.3 44 14.7 42.7%
ガーナ 6 2.0 0 0 58 19.3 43 14.3 74.1% 353 117.7 181 60.3 51.3% 99 33.0 54 18.0 54.5%
イングランド 4 1.3 1 0 47 15.7 31 10.3 66.0% 302 100.7 168 56.0 55.6% 73 24.3 44 14.7 60.3%
韓国 6 2.0 0 0 52 17.3 40 13.3 76.9% 365 121.7 184 61.3 50.4% 120 40.0 65 21.7 54.2%
イラン 4 1.3 1 0 63 21.0 46 15.3 73.0% 329 109.7 147 49.0 44.7% 82 27.3 37 12.3 45.1%
日本 6 2.0 1 1 54 18.0 39 13.0 72.2% 303 101.0 160 53.3 52.8% 78 26.0 43 14.3 55.1%
オーストラリア 9 3.0 0 0 37 12.3 23 7.7 62.2% 303 101.0 136 45.3 44.9% 70 23.3 38 12.7 54.3%
ホンジュラス 8 2.7 0 1 48 16.0 37 12.3 77.1% 309 103.0 148 49.3 47.9% 99 33.0 41 13.7 41.4%
カメルーン 9 3.0 0 0 44 14.7 36 12.0 81.8% 280 93.3 135 45.0 48.2% 58 19.3 22 7.3 37.9%
GL突破平均 5.1 1.1 1.9 0.5 99.1 19.7 76.8 15.2 0.8 575.6 115.2 291.8 58.0 0.5 146.8 29.8 75.1 15.1 0.5
GL突破SD 2.8 0.5 1.3 0.7 30.0 2.2 24.3 1.8 0.0 151.9 9.4 88.9 5.9 0.0 31.1 4.5 21.3 2.5 0.1
GL突破チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
GL敗退平均 5.6 1.9 0.4 0.3 52.4 17.5 39.3 13.1 0.7 315.9 105.3 153.9 51.3 0.5 82.1 27.4 39.3 13.1 0.5
GL敗退SD 2.0 0.7 0.5 0.5 8.9 3.0 7.9 2.6 0.1 23.4 7.8 15.6 5.2 0.0 22.0 7.3 11.8 3.9 0.1
GL敗退チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
0.631 3.730 4.231 0.832 5.764 2.304 5.686 2.570 1.450 6.544 3.132 5.919 3.262 1.191 6.564 1.103 5.698 1.636 1.108
自由度 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30
有意差 なし 1% 1% なし 1% 5% 1% 5% なし 1% 1% 1% 1% なし 1% なし 1% なし なし

対象となったデータは下記18項目(表1.Optaディフェンス集計表参照)である。

・失点数

・失点数試合

・無失点試合数

・PK失点数

・タックル数

・タックル数/試合

・タックル成功数

・タックル成功率

・デュエル回数     ※デュエル→1vs1

・デュエル回数/試合

・デュエル(勝)回数  

・デュエル(勝)回数/試合

・デュエル勝率

・空中戦回数

・空中戦/試合

・空中戦(勝)回数

・空中戦(勝)回数/試合

・空中戦勝率

上記の中で注目する点は、「タックル成功数/試合」、「デュエル/試合」、「デュエル(勝)/試合」である。

「タックル成功数試合」はGL突破チームとGL敗退チームとの間に5%水準で有意差が認められた。GL突破チームの方が1試合当たりのタックル成功が有意に多く、タックルという技術を用いて、相手チームの攻撃を止めていることが分かる。

「デュエル/試合」はGL突破チームとGL敗退チームとの間に1%水準で有意差が認められた。GL突破チームの方が1試合当たりのデュエル回数が有意に多く、ディフェンスの際に1vs1の状況を多く作っていることが分かる。

「デュエル(勝)/試合」はGL突破チームとGL敗退チームとの間に1%水準で有意差が認められた。GL突破チームの方が1試合当たりのデュエル(勝)回数が有意に多く、1vs1という状況を作り出し、その1vs1に確実に勝っていくということが分かる。逆にみると、GL突破チームは1vs1に勝つことによって、試合に勝つ確率を高めている。

まとめると、GL突破チームは1vs1という状況を作り、タックル等の技術を使い、1vs1に勝っていくことで相手チームの攻撃を止めている。チームのディフェンス戦術として1vs1という状況を作り出すが、1vs1という状況になった際は、個の力で相手チームの攻撃を封じ込んでいるということが分かる。統計的な数字から見ると、「個のディフェンス力がないとダメだ。」ということになる。

 

Aオフェンス

表2.Optaオフェンス集計表

チーム名 シュート数 シュート数/試合 枠内シュート数 枠内シュート数/試合 枠内シュート率/試合 ゴール数 ゴール数/試合 シュート決定率 ゴールにかかる時間(分) 左足 右足 ヘディング その他 PKゴール PKゴール/試合 PK失敗 PA内でのゴール PA外からのゴール セットプレイ
ドイツ 77 11.0 48 6.9 0.62 18 2.6 23.4% 35 7 9 2 0 1 0.14 0 17 1 0
アルゼンチン 81 11.6 33 4.7 0.41 8 1.1 9.9% 78.8 5 2 0 1 0 0.00 0 5 2 1
オランダ 68 9.7 40 5.7 0.59 15 2.1 22.1% 42 7 6 2 0 2 0.29 0 14 1 0
ブラジル 84 12.0 44 6.3 0.52 11 1.6 13.1% 57.3 2 7 1 1 1 0.14 0 8 2 1
コロンビア 42 8.4 22 4.4 0.52 12 2.4 28.6% 37.5 8 3 1 0 2 0.40 0 11 1 0
ベルギー 71 14.2 33 6.6 0.46 6 1.2 8.5% 75 2 3 1 0 0 0.00 0 6 0 0
フランス 70 14.0 36 7.2 0.51 10 2.0 14.3% 45 1 5 2 2 1 0.20 1 10 0 0
コスタリカ 34 6.8 13 2.6 0.38 5 1.0 14.7% 90 2 1 2 0 0 0.00 0 4 1 0
チリ 32 8.0 12 3.0 0.38 6 1.5 18.8% 60 1 5 0 0 0 0.00 0 5 1 0
メキシコ 38 9.5 15 3.8 0.39 5 1.3 13.2% 72 3 0 2 0 0 0.00 0 4 1 0
スイス 48 12.0 24 6.0 0.50 7 1.8 14.6% 51.4 5 1 1 0 0 0.00 0 5 1 1
ウルグアイ 36 9.0 14 3.5 0.39 4 1.0 11.1% 90 0 2 2 0 1 0.25 0 4 0 0
ギリシャ 45 11.3 19 4.8 0.42 3 0.8 6.7% 120 0 3 0 0 1 0.25 0 3 0 0
アルジェリア 32 8.0 16 4.0 0.50 7 1.8 21.9% 51.4 3 2 2 0 1 0.25 0 7 0 0
アメリカ 33 8.3 14 3.5 0.42 5 1.3 15.2% 72 1 2 1 1 0 0.00 0 4 1 0
ナイジェリア 35 8.8 18 4.5 0.51 3 0.8 8.6% 120 0 3 0 0 0 0.00 0 3 0 0
エクアドル 22 7.3 10 3.3 0.45 3 1.0 13.6% 90 1 0 2 0 0 0.00 0 3 0 0
ポルトガル 38 12.7 18 6.0 0.47 4 1.3 10.5% 67.5 1 1 1 1 0 0.00 0 4 0 0
クロアチア 34 11.3 15 5.0 0.44 6 2.0 17.6% 45 3 1 1 1 0 0.00 0 6 0 0
ボスニア・ヘルツェゴビナ 36 12.0 18 6.0 0.50 4 1.3 11.1% 67.5 2 2 0 0 0 0.00 0 3 1 0
コートジボワール 30 10.0 12 4.0 0.40 4 1.3 13.3% 67.5 0 2 2 0 0 0.00 0 4 0 0
イタリア 25 8.3 9 3.0 0.36 2 0.7 8.0% 135 0 1 1 0 0 0.00 0 1 1 0
スペイン 26 8.7 14 4.7 0.54 4 1.3 15.4% 67.5 1 3 0 0 1 0.33 0 4 0 0
ロシア 30 10.0 12 4.0 0.40 2 0.7 6.7% 135 0 1 1 0 0 0.00 0 2 0 0
ガーナ 45 15.0 13 4.3 0.29 4 1.3 8.9% 67.5 1 1 2 0 0 0.00 0 4 0 0
イングランド 33 11.0 12 4.0 0.36 2 0.7 6.1% 135 1 1 0 0 0 0.00 0 2 0 0
韓国 24 8.0 13 4.3 0.54 3 1.0 12.5% 90 2 1 0 0 0 0.00 0 2 1 0
イラン 14 4.7 6 2.0 0.43 1 0.3 7.1% 270 0 1 0 0 0 0.00 0 1 0 0
日本 31 10.3 13 4.3 0.42 2 0.7 6.5% 135 1 0 1 0 0 0.00 0 2 0 0
オーストラリア 21 7.0 8 2.7 0.38 3 1.0 14.3% 90 1 1 1 0 1 0.33 0 3 0 0
ホンジュラス 27 9.0 10 3.3 0.37 1 0.3 3.7% 270 1 0 0 0 0 0.00 0 0 1 0
カメルーン 29 9.7 4 1.3 0.14 1 0.3 3.4% 270 0 1 0 0 0 0.00 0 1 0 0
GL突破平均 51.6 10.2 25.1 4.8 0.472 7.8 1.5 0.153 68.6 2.9 3.4 1.2 0.3 0.6 0.1 0.1 6.9 0.8 0.2
GL突破SD 19.7 2.2 12.1 1.4 0.1 4.3 0.6 0.1 26.5 2.7 2.4 0.8 0.6 0.7 0.1 0.3 4.1 0.7 0.4
GL突破チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
GL敗退平均 29.1 9.7 11.7 3.9 0.406 2.9 1.0 0.099 125.2 0.9 1.1 0.8 0.1 0.1 0.0 0.0 2.6 0.3 0.0
GL敗退SD 7.4 2.5 3.8 1.3 0.1 1.4 0.5 0.0 77.5 0.9 0.8 0.8 0.3 0.3 0.1 0.0 1.5 0.4 0.0
GL敗退チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
4.152 0.543 4.083 1.892 2.043 4.205 2.878 2.765 2.675 2.763 3.528 1.489 1.049 2.433 1.709 0.968 3.734 2.372 1.801
自由度 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30
有意差 1% なし 1% なし 5% 1% 1% 1% 5% 1% 1% なし なし 5% なし なし 1% 5% なし

対象となったデータは下記18項目(表2.Optaオフェンス集計表参照)である。

 ・シュート数

 ・シュート数/試合

 ・枠内シュート数

 ・枠内シュート数/試合

 ・ゴール数

 ・ゴール数試合

 ・シュート決定率

 ・ゴールにかかる時間(分)

 ・左足によるゴール

 ・右足によるゴール

 ・ヘディングによるゴール

 ・その他ゴール

 ・PKゴール

 ・PKゴール/試合

 ・PK失敗

 ・PA内でのゴール

 ・PA外からのゴール

 ・セットプレイ

上記の中で注目する点は、「枠内シュート数/試合」、「シュート決定率」である。GL突破チームとGL敗退チームとの間に統計学的に有意な差が認められた。

「枠内シュート数/試合」は5%水準、「シュート決定率」は1%水準で有意差があり、このことからGL突破チームはGL敗退チームと比較して、シュートが正確だと言える。シュートが不正確だったら、シュートを何本打っても絶対に決まらない。

「シュート数/試合」は統計学的な差は認められなかった。GL敗退チームもGL突破チームと同じ数だけシュートは打っているが、シュートが不正確なため、ゴールにつながらない。

まとめると、オフェンスでは正確なシュートを打つ技術(ポジションに関係なく)が必要だということである。くれぐれも「強力なFWが必要」ということではないということを理解していただきたい。これもまた個の力ということか。

 

Bパス

表3.Optaパス集計表

チーム名 パス成功数 パス成功数/試合 パス数 パス数/試合 パス成功率 ロングパス成功数 ロングパス成功数/試合 ロングパス数 ロングパス数/試合 ロングパス成功率 前方パス 左方向パス 右方向パス 後方パス クロス成功数 クロス成功数/試合 クロス数 クロス数/試合 クロス成功率 敵陣パス成功率 自陣パス成功率 平均ボール支配率
ドイツ 3802 543.1 4413 630.4 86.2% 268 38.3 401 57.3 66.8% 34.6 22.4 26.6 16.5 24 3.4 94 13.4 25.5% 81.4 93.5 61
アルゼンチン 3006 429.4 3568 509.7 84.2% 262 37.4 414 59.1 63.3% 34.1 25.9 26.3 13.7 26 3.7 127 18.1 20.5% 77 93.5 54
オランダ 2624 374.9 3165 452.1 82.9% 324 46.3 501 71.6 64.7% 34.1 24.9 25.7 15.3 16 2.3 92 13.1 17.4% 74 93.6 49
ブラジル 2373 339.0 2871 410.1 82.7% 242 34.6 380 54.3 63.7% 35.7 24.9 23.8 15.6 20 2.9 121 17.3 16.5% 75.1 92.8 53
コロンビア 1269 253.8 1611 322.2 78.8% 98 19.6 196 39.2 50.0% 40.3 23.6 23.2 12.9 12 2.4 51 10.2 23.5% 73.1 87.6 46
ベルギー 1747 349.4 2119 423.8 82.4% 176 35.2 264 52.8 66.7% 35.4 25.8 26.1 12.6 15 3.0 88 17.6 17.0% 77.6 91.7 52
フランス 1963 392.6 2314 462.8 84.8% 125 25.0 207 41.4 60.4% 37 24.8 24.5 13.7 26 5.2 108 21.6 24.1% 79.9 92.3 57
コスタリカ 1350 270.0 1772 354.4 76.2% 142 28.4 284 56.8 50.0% 40.8 22 22.7 14.5 8 1.6 45 9.0 17.8% 65.3 89.1 40
チリ 1569 392.3 1957 489.3 80.2% 187 46.8 310 77.5 60.3% 36.2 24.9 23.8 15.1 6 1.5 48 12.0 12.5% 69.9 92 55
メキシコ 1230 307.5 1533 383.3 80.2% 107 26.8 183 45.8 58.5% 34.5 27 24.1 14.4 11 2.8 55 13.8 20.0% 75 88.2 49
スイス 1356 339.0 1655 413.8 81.9% 92 23.0 173 43.3 53.2% 37.9 22.2 25.8 14.1 8 2.0 52 13.0 15.4% 76.6 90.1 48
ウルグアイ 1029 257.3 1386 346.5 74.2% 134 33.5 239 59.8 56.1% 41.6 25.2 21.9 11.3 9 2.3 53 13.3 17.0% 67.9 87.8 46
ギリシャ 1134 283.5 1397 349.3 81.2% 125 31.3 201 50.3 62.2% 34.2 27.8 26.9 11.1 14 3.5 81 20.3 17.3% 73.6 91.4 47
アルジェリア 1038 259.5 1404 351.0 73.9% 96 24.0 230 57.5 41.7% 41.1 23.2 21.2 14.5 7 1.8 54 13.5 13.0% 61.5 89.8 39
アメリカ 1371 342.8 1663 415.8 82.4% 104 26.0 177 44.3 58.8% 38.6 22 24.2 15.2 9 2.3 47 11.8 19.1% 73.9 91.7 44
ナイジェリア 1203 300.8 1476 369.0 81.5% 93 23.3 174 43.5 53.4% 34.9 26.5 24.7 13.9 9 2.3 65 16.3 13.8% 71.8 93.2 48
エクアドル 651 217.0 871 290.3 74.7% 68 22.7 148 49.3 45.9% 34.9 24.7 25.5 14.9 8 2.7 43 14.3 18.6% 64.6 88.6 39
ポルトガル 1149 383.0 1346 448.7 85.4% 116 38.7 177 59.0 65.5% 34.1 25 25.3 15.6 11 3.7 67 22.3 16.4% 79.4 93.6 51
クロアチア 878 292.7 1075 358.3 81.7% 126 42.0 180 60.0 70.0% 34.9 23.3 24.7 17.1 13 4.3 61 20.3 21.3% 71.9 92.5 50
ボスニア・ヘルツェゴビナ 1238 412.7 1442 480.7 85.9% 80 26.7 128 42.7 62.5% 33.3 26.8 27.7 12.3 11 3.7 58 19.3 19.0% 80 92.9 55
コートジボワール 1051 350.3 1212 404.0 86.7% 88 29.3 130 43.3 67.7% 32.9 27.3 26.2 13.6 12 4.0 52 17.3 23.1% 77.2 96.2 56
イタリア 1459 486.3 1637 545.7 89.1% 95 31.7 130 43.3 73.1% 30.7 28.1 27.9 13.3 3 1.0 30 10.0 10.0% 81.4 96 58
スペイン 1574 524.7 1841 613.7 85.5% 100 33.3 157 52.3 63.7% 30.5 27.1 26.1 16.3 6 2.0 36 12.0 16.7% 80.3 92.2 61
ロシア 1028 342.7 1268 422.7 81.1% 80 26.7 140 46.7 57.1% 37.6 23.6 23.3 15.5 13 4.3 58 19.3 22.4% 73.6 90.9 52
ガーナ 913 304.3 1149 383.0 79.5% 87 29.0 150 50.0 58.0% 40 23.8 23.1 13.1 21 7.0 69 23.0 30.4% 73.2 89 46
イングランド 1182 394.0 1391 463.7 85.0% 109 36.3 170 56.7 64.1% 34.2 26.9 25.6 13.3 6 2.0 50 16.7 12.0% 79.1 92.4 53
韓国 1029 343.0 1237 412.3 83.2% 121 40.3 177 59.0 68.4% 30.9 25 28 16.2 8 2.7 47 15.7 17.0% 78 90.7 52
イラン 450 150.0 638 212.7 70.5% 59 19.7 128 42.7 46.1% 48.9 20.4 20.2 10.5 12 4.0 47 15.7 25.5% 63.8 81.9 31
日本 1113 371.0 1323 441.0 84.1% 73 24.3 125 41.7 58.4% 35.1 26.7 23.7 14.5 10 3.3 55 18.3 18.2% 79.2 94.4 58
オーストラリア 939 313.0 1183 394.3 79.4% 71 23.7 129 43.0 55.0% 36.3 24.9 26.3 12.6 12 4.0 44 14.7 27.3% 66.7 91 42
ホンジュラス 873 291.0 1103 367.7 79.1% 94 31.3 168 56.0 56.0% 34.5 26.2 26 13.2 4 1.3 30 10.0 13.3% 71.3 89.9 46
カメルーン 717 239.0 887 295.7 80.8% 58 19.3 117 39.0 49.6% 38.6 22.3 24.4 14.8 6 2.0 40 13.3 15.0% 74.3 90 42
GL突破平均 1754.0 339.7 2144.0 417.7 0.809 160.9 31.2 270.9 53.4 0.6 36.9 24.6 24.5 14.0 13.8 2.7 73.8 14.6 0.2 73.4 91.1 49.3
GL突破SD 803.5 76.4 902.0 78.8 0.0 74.4 8.2 102.2 10.7 0.1 2.7 1.8 1.7 1.5 6.8 0.9 27.9 3.5 0.0 5.2 2.1 5.9
GL突破チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
GL敗退平均 1015.3 338.4 1225.2 408.4 0.820 89.1 29.7 147.1 49.0 0.6 35.5 25.1 25.3 14.2 9.8 3.3 49.2 16.4 0.2 74.6 91.4 49.5
GL敗退SD 284.3 94.8 292.0 97.3 0.0 21.2 7.1 21.6 7.2 0.1 4.5 2.1 2.0 1.7 4.4 1.5 11.9 4.0 0.1 5.7 3.4 8.0
GL敗退チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
3.357 0.040 3.753 0.288 0.732 3.597 0.544 4.586 1.302 0.704 1.088 0.785 1.147 0.254 1.903 1.280 3.144 1.285 0.563 0.639 0.237 0.097
自由度 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30
有意差 1% なし 1% なし なし 1% なし 1% なし なし なし なし なし なし なし なし 1% なし なし なし なし なし

対象となったデータは下記22項目(表3.Optaパス集計表参照)である。

 ・パス成功数

 ・パス成功数/試合

 ・パス数

 ・パス数/試合

 ・パス成功率

 ・ロングパス成功数

 ・ロングパス成功数/試合

 ・ロングパス数

 ・ロングパス数/試合

 ・ロングパス成功率

 ・前方パス

 ・左方向パス

 ・右方向パス

 ・後方パス

 ・クロス成功数

 ・クロス成功数/試合

 ・クロス数

 ・クロス数/試合

 ・クロス成功率

 ・敵陣パス成功率

 ・自陣パス成功率

 ・平均ボール支配率

 「パス」項目の中で、1試合当たりの数字において、有意差が出た項目はない。傾向を下記に記載するが、全て統計学的には差はないといってよい。

・GL突破チームの方が、1試合当たりのパス回数が約10本多い。

・GL突破チームの方が、1試合当たりのロングパスが約4本多い。

・GL突破チームの方が、前方へのパスの割合が高い。ボールを奪ったら、まず前方へパスを送る傾向がある。

・GL突破チームの方が、状況判断に優れ、カウンターやショートカウンターのための前方へのパスが多い。

・GL敗退チームの方が、クロス数が多い。攻め手に欠き、単純なクロスを上げる攻撃が多い。

・GL突破チームの方が、敵陣でのパス成功率が低い。敵陣では安全なパスよりも、急所を突くパスを選択する傾向にある。急所を突くパスが成功すれば得点につながり、失敗すれば、結果敵陣でのパス成功率が下がる。ポゼッションよりもゴールに近づくパスを選択する傾向がある。

 有意差がないため断言することはできないが、総じて言えば、GL突破チームの方がパスは回るし、ゴールへ近づくパスを多く選択している。

 

Cファウル

表4.Optaファウル集計表

チーム名 被ファウル 被ファウル/試合 ファウル ファウル/試合 イエローカード イエロー/試合 レッドカード レッド/試合
ドイツ 99 14.1 91 13.0 6 0.9 0 0.0
アルゼンチン 116 16.6 77 11.0 8 1.1 0 0.0
オランダ 82 11.7 126 18.0 11 1.6 0 0.0
ブラジル 128 18.3 123 17.6 14 2.0 0 0.0
コロンビア 82 16.4 90 18.0 5 1.0 0 0.0
ベルギー 60 12.0 87 17.4 7 1.4 1 0.2
フランス 67 13.4 61 12.2 5 1.0 0 0.0
コスタリカ 74 14.8 94 18.8 10 2.0 1 0.2
チリ 81 20.3 61 15.3 7 1.8 0 0.0
メキシコ 49 12.3 53 13.3 8 2.0 0 0.0
スイス 63 15.8 67 16.8 3 0.8 0 0.0
ウルグアイ 63 15.8 73 18.3 8 2.0 1 0.3
ギリシャ 81 20.3 60 15.0 6 1.5 1 0.3
アルジェリア 55 13.8 69 17.3 6 1.5 0 0.0
アメリカ 56 14.0 49 12.3 4 1.0 0 0.0
ナイジェリア 42 10.5 56 14.0 3 0.8 0 0.0
エクアドル 28 9.3 48 16.0 5 1.7 1 0.3
ポルトガル 35 11.7 47 15.7 2 0.7 1 0.3
クロアチア 27 9.0 46 15.3 4 1.3 1 0.3
ボスニア・ヘルツェゴビナ 34 11.3 41 13.7 3 1.0 0 0.0
コートジボワール 35 11.7 49 16.3 7 2.3 0 0.0
イタリア 47 15.7 40 13.3 3 1.0 1 0.3
スペイン 44 14.7 28 9.3 3 1.0 0 0.0
ロシア 33 11.0 38 12.7 4 1.3 0 0.0
ガーナ 43 14.3 43 14.3 6 2.0 0 0.0
イングランド 44 14.7 36 12.0 4 1.3 0 0.0
韓国 42 14.0 36 12.0 6 2.0 0 0.0
イラン 39 13.0 49 16.3 4 1.3 0 0.0
日本 45 15.0 46 15.3 4 1.3 0 0.0
オーストラリア 39 13.0 50 16.7 6 2.0 0 0.0
ホンジュラス 44 14.7 46 15.3 5 1.7 1 0.3
カメルーン 37 12.3 37 12.3 4 1.3 1 0.3
GL突破平均 74.9 15.0 77.3 15.5 6.9 1.4 0.3 0.1
GL突破SD 23.6 2.9 23.2 2.6 2.9 0.5 0.4 0.1
GL突破チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16
GL敗退平均 38.5 12.8 42.5 14.2 4.4 1.5 0.4 0.1
GL敗退SD 6.1 2.0 6.2 2.1 1.4 0.5 0.5 0.2
GL敗退チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16
5.784 2.364 5.620 1.561 3.071 0.413 0.722 1.365
自由度 30 30 30 30 30 30 30 30
有意差 1% 5% 1% なし 1% なし なし なし

対象となったデータは下記8項目(表4.Optaファウル集計表参照)である。

・被ファウル数

 ・被ファウル数/試合

 ・ファウル数

 ・ファウル数/試合

 ・イエローカード数

 ・イエローカード数/試合

 ・レッドカード数

 ・レッドカード数/試合

上記の中で注目する点は、「被ファウル数/試合」である。GL突破チームとGL敗退チームとの間に統計学的に5%水準で有意差が認められた。

 GL突破チームの方が、1試合当たりの被ファウル数が多い。GL突破チームが攻め込んでいる証拠である。また前述したディフェンスにも出てきたが、「タックル成功数/試合」にも関係している。GL突破チームは1vs1という状況を作り、タックル等の技術を使い、1vs1に勝っていくことで相手チームの攻撃を止めている。しかしながらGL敗退チームは、タックルの技術がないため、ファウルで攻撃を止める回数が多くなる。それは攻撃を一時的にしのいだだけであり、ボールを奪ったわけではない。

 

 

 

まとめ

Optaのデータを、統計学を用いて、GL突破の分岐点を分析した。結果は下記の通り。

 

・ディフェンスにおいては、GL突破チームは1vs1という状況を作り、タックル等の技術を使い、1vs1に勝っていくことで相手チームの攻撃を止めている。しかしながらGL敗退チームは、タックルの技術がないため、ファウルで攻撃を止める回数が多くなる。それは攻撃を一時的にしのいだだけであり、ボールを奪ったわけではない。

・オフェンスでは正確なシュートを打つ技術(ポジションに関係なく)が必要だということである。くれぐれも「強力なFWが必要」ということではないということを理解していただきたい。

・パスでは、GL突破チームの方がパスは回るし、ゴールへ近づくパスを多く選択している。

 

 今後日本代表がワールドカップにおいてGLを突破するためには、@1vs1においてボールを奪う技術、A正確なシュートを打つ技術、Bゴールを奪うパスへの意識づけ、以上3点の習得が不可欠である。これは日本サッカー協会が掲げるサッカーの本質、「ゴールを奪う」、「ゴールを守る」、「ボールを奪う」に直結している、以上。

 

 

 

参考資料

チーム名 FIFAランク 順位 GL順位 最終順位 試合数 勝率 GL順位
ドイツ 2 2 6 1 7 6 1 0 85.7% 1
アルゼンチン 5 5 3 2 7 5 1 1 71.4% 1
オランダ 15 15 1 3 7 5 2 0 71.4% 1
ブラジル 3 3 6 4 7 3 2 2 42.9% 1
コロンビア 8 8 2 5 5 4 0 1 80.0% 1
ベルギー 11 11 4 6 5 4 0 1 80.0% 1
フランス 17 16 5 7 5 3 1 1 60.0% 1
コスタリカ 28 24 9 8 5 2 3 0 40.0% 1
チリ 14 14 10 9 4 2 1 1 50.0% 2
メキシコ 20 19 8 10 4 2 1 1 50.0% 2
スイス 6 6 11 11 4 2 0 2 50.0% 2
ウルグアイ 7 7 12 12 4 2 0 2 50.0% 2
ギリシャ 12 12 17 13 4 1 2 1 25.0% 2
アルジェリア 22 21 13 14 4 1 1 2 25.0% 2
アメリカ 13 13 14 15 4 1 1 2 25.0% 2
ナイジェリア 44 28 15 16 4 1 1 2 25.0% 2
エクアドル 26 23 15 17 3 1 1 1 33.3% 3
ポルトガル 4 4 18 18 3 1 1 1 33.3% 3
クロアチア 18 17 19 19 3 1 0 2 33.3% 3
ボスニア・ヘルツェゴビナ 21 20 20 20 3 1 0 2 33.3% 3
コートジボワール 23 22 21 21 3 1 0 2 33.3% 3
イタリア 9 9 22 22 3 1 0 2 33.3% 3
スペイン 1 1 23 23 3 1 0 2 33.3% 3
ロシア 19 18 24 24 3 0 2 1 0.0% 3
ガーナ 37 26 25 25 3 0 1 2 0.0% 4
イングランド 10 10 26 26 3 0 1 2 0.0% 4
韓国 57 31 27 27 3 0 1 2 0.0% 4
イラン 43 27 28 28 3 0 1 2 0.0% 4
日本 46 29 29 29 3 0 1 2 0.0% 4
オーストラリア 62 32 30 30 3 0 0 3 0.0% 4
ホンジュラス 33 25 31 31 3 0 0 3 0.0% 4
カメルーン 56 30 32 32 3 0 0 3 0.0% 4
GL突破平均 14.2 12.8 8.5 8.5 5.0 2.8 1.1 1.2 0.5 1.5
GL突破SD 10.7 7.6 4.9 4.8 1.3 1.6 0.9 0.8 0.2 0.5
GL突破チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
GL敗退平均 29.1 20.3 24.4 24.5 3.0 0.4 0.6 2.0 0.1 3.5
GL敗退SD 19.4 9.7 5.0 4.8 0.0 0.5 0.6 0.6 0.2 0.5
GL敗退チーム数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16
2.597 2.357 8.791 9.204 6.124 5.294 1.826 3.208 5.332 10.607
自由度 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30
有意差 5% 5% 1% 1% 1% 1% なし 1% 1% 1%

 

 


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