[寸評]
理不尽に翻弄される一匹の犬の過酷な運命の旅を通して、犬の持つ善良さ、愛の塊とも言える姿と共に、人間の“生命”に対する傲慢さ、愛情、連帯、勇気などが描かれる。
300頁弱の比較的短いコンパクトな物語だが、様々な要素が詰め込まれ、なにか壮大な物語を読んだ気にさせられる。
愛の物語ではあるが、とにかく波瀾万丈の展開が続き最後まで面白さも十分だ。
また闘う、反逆のアメリカ人魂を象徴するようないかにもアメリカ的な物語でもあった。
[導入部]
傷だらけだがなお逞しい老犬が、愛のない生活を逃れ荒れた土地を走るハイウェイを西に歩いていた。
やがて犬の強いにおいを感じ進むと建物の看板にセント・ピーターズ・モーテルとあり、自分が目的地に着いたことが分かった。
そこには経営者のアンナがエンジェルという盲目の犬と暮らしていた。
辿り着いた老犬を彼女は受け入れ、首輪にあった不鮮明な文字から類推して犬を“GIV(ギブ)”と呼ぶことにした。
[採点] ☆☆☆☆
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