[寸評]
3年前にアメリカで刊行され、さまざまなミステリの新人賞を独占し、シリーズ化されている作品。
密猟者に銃を取り上げられるは、薄給で裕福な家から嫁いできた妻に満足な暮らしをさせられない男が、自らの信念を貫き、銃には銃で対抗し、家族を守り通すという、いかにもアメリカ人好みの作品。
非常に分かりやすい展開というか、筋書きが早々と読めてしまう単純さで意外性も無いが、読者を飽きさせず、十分楽しませてくれる。
[寸評]
情味豊かな「お鳥見女房」シリーズの3冊目。
表題作等、全8作の短編集。
いずれも30ページ程度の短いものだが、どれも実に上手くまとめられている。
自然や風景描写、登場人物の台詞、人の動き等々、文章表現が時代小説らしい情感溢れるもので、その巧みな筆さばきは作者のさらなる成長を感じさせる。
ともあれ"鷹姫"という魅力的なキャラクタが加わり、次はどんな展開が待っているか、まだまだ面白い物語が続きそうです。
[寸評]
まずは、書名にもなっているステラのダークレディぶりが、この話からほとんど窺えない所が不満。
また人物の出入りが激しく、外人さんの名前がすんなり頭に入らない私としては、序盤は話についていくのが精一杯で少々疲れた。
真相というか本当の黒幕の描き方も物足りない。
不満ばかりが多くなってしまったが、ストーリーはしっかりと組み立てられており、ともかく最後まで飽きさせられることは無い。
物語全体がダーク(暗い)でした。
[寸評]
序盤は爽やかな印象を与えながら、徐々にどろどろした世界へと入っていく。
といっても、全体のトーンはなにか涼しげで乾いた印象を受ける。
一種の不倫物語なのだが、私の場合、読んでいて途中から非常に腹が立った。
よほど投げ出そうかと思ったが、サラッとした筆致のため最後までなんとか読めた感じ。
ただ、人によっては共感するとか、哀しみに心が震えるなんていうこともあるかと思わせる不思議な魅力も持っている。
[寸評]
まずは戦後の一時期名を残して自殺した小説家の自殺直前の未発表原稿という設定が面白く、
その原稿に記された物語が200ページ強あるのだがこれが大変面白い。
その原稿に残された謎を解こうと試みる主人公の調査行といい、一転その後に待ち受ける展開といい、構成がよく練られている。
主人公の性格そのまま、あまりに素直に真相が割れそうで逆戻り、というのがちょっとしつこいが、全体の印象がいいので許せる。
[あらすじ]
ジョー・ピケットはワイオミング州の猟区管理官。
妻と2人の娘を持ち、野生生物の保護・管理、猟の監視などを行っている。
赴任してきて間もなくの6月、禁猟期にシカを撃った男を検挙中に銃を奪われる失態を演じてしまう。
撃たれはしなかったが、噂は広まる。
秋になり、その男が山から下りてきてジョーの家の敷地で死ぬ。
男は撃たれていた。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
矢島家が代々務める幕府の御鳥見役は、将軍の鷹狩りがつつがなく行われるよう諸事を務める役目だが、一方、諸藩の内情を探るという裏の任務もある。
当主の伴之助は、密偵として沼津へ出向き、先ごろようやく生還した。
長男久太郎に鷹の訓練を行う役職である鷹匠の娘との結婚話が持ち上がるが、この娘、気性が激しく"鷹姫さま"と呼ばれていた。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
アメリカ中西部の都市スティールトン。
次期市長の座をめぐり、新球場建設を進める現職と初の黒人市長を目指す郡検事が争っていた。
検事補のステラはその厳しさから"ダーク・レディ"の異名を持つが、郡初の女性検事に選ばれるという野望を持っている。
そんな折、球場建設担当役員、続いて麻薬犯専門弁護士でステラの昔の恋人の死体が発見される。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
杏と姉の椿の両親は"だりや荘"というペンションを経営していたが、1年前に峠で車ごと落ちて死んだ。
東京に住んでいた杏は、夫で指圧師の迅人とペンションを継ぐために移り住む。
姉は身体が弱く、ペンションを手伝いながら隣接の家に住んでいた。
1年ぶりの営業再開も順調に客も入るようになり、一人旅の翼という名の青年をアルバイトに雇う。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
松嶋は大学の国文学の講師。
3か月前、夫婦喧嘩で実家に戻った妻が交通事故で死んだ。
3歳の娘、里菜は妻の父母が離さず、時々会いに行くことしかできない。
義父は松嶋の上司にあたる大学の教授で、妻の死後、当然彼への態度は厳しい。
そんなうだつのあがらない彼のもとに、終戦直後に活躍した小説家の未発表原稿の話が持ち込まれる。
[採点] ☆☆☆☆
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