[寸評]
ミステリー短編四編。
ミステリーといっても犯罪がらみではなく、日常の謎系のもので、ミステリー色は弱い。
謎解きもそれなりですっきりとはしておらず、ミステリーとしては反則もあり、驚きはあまりない。
一方、どの作品も青春小説としての色が濃く、その点で雰囲気の良いものばかり。
校舎の屋上から転落死したクラスメートの謎を探る「重力と飛翔」、15年前の高校の卒業式でのハプニングをかつての放送委員が回顧する「スプリング・ハズ・カム」の静かな余韻が美しい。
[導入部]
日本から飛行機で九時間。
カナダの西の玄関口、バンクーバー国際空港から国内線、フェリー、ボートと乗り継ぎ、最後は徒歩で。
グレート・ベア・レインフォレストは世界最大の温帯雨林だ。
熊を筆頭に六十種以上の哺乳類、二百種以上の鳥類など多種多様な生き物が生息している。
大学農学部三年の柴田と穂村は、カナダに留学して動物生態学を専攻している相羽と三人で、手摺りに囲まれた三畳ほどの物見台に腰を下ろし、狼が現れるのを待っていた。
[採点] ☆☆☆★
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