● あるサイドカーオーナーの話
● 側車付二輪車
● 最近の車検場での検査の動向
● 浜松オートバイ物語
● ワトソニアンサイドカーの話
● バッテリーの話
● バッテリーの話をもう1つ
● ブレーキの話
● 溶接のビード延長の話
● 強化スプリングについて
● BMWのドライブシャフトについて
● 認証整備工場



あるサイドカーオーナーの話
先日、国産のバイクにサイドカーを付けたオーナーが来て正式な側車付オートバイに登録し直して欲しいと云う。
サイドカーを良く見るとマフラーは一本の集合菅にしてあり排気音は明らかに車検には通りそうもない音がしている、カー側の車幅灯もアクセサリーの顔の様なランプの中の電球が点るだけのもの、カーの座席も調べたら幅は40Cmあるが長さは30Cmしかない、そしてバイクに比べて見るからに小さなカーで転覆角が満足するかどうか不安だ。
しかしナンバーのステッカーをを見るとまだ最近車検を取ったばかりの様なので話を聞くといろいろあったらしい。
近くのバイク屋に車検を頼んでサイドカーを預けたらしい、車検が終わってステッカーは新しくなっていたが車検証に記載されている走行キロが大幅に違う事に気付いてその事をバイク屋に言ったと云う、そのバイク屋は他の民間車検に取り次いだだけなので自分のところではどうしようもないと言われたとのこと。つまりバイク屋から民間車検には書類だけで通したため細かい相違点があっても分からない、ましてやサイドカーが付いている等分からないという話らしい。昔からこの手の話はよく聞くがまだ今もって書類だけで車検を通している民間車検工場があるんだなと改めて感じた。そういえば最近でも四輪で書類だけで通したというあるデーラーのニュースがあった。
私も20数年前にある民間車検工場で検査員をしていたが国の検査を代行して合格印を押してサインするだけで身も心も疲れて胃潰瘍になったことがある、それだけ神経を使うという事だが国の厳正な検査を行う事より現実の自分が身を置いている会社の社長の云う事が優先する事が多々あった、多分この場合もそんな事だろうと思う。
とに角このオーナーにはマフラーと座席だけは何とかしないと私のところでは引き受けられない旨の事を伝えて出直してもらうようにした、その後近いうちに行くという電話があったがそれにしてもこのサイドカーを作って取り付けたところも無責任だと思った。
このオーナーはいかにもマジメそうで、またそのバイクが気に入っていてあちこち手を加えて楽しんでいるよう真にバイクが好きだと感じた、結局このオーナーが一番バカをみてかわいそうだと感じた、今度私のところに来たらしっかり対応して決して裏切らないようにしないとこの業界全体のイメージを悪くしかねないと考える。
                                     
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側車付軽二輪
 軽二輪車には車検がないため自動二輪車のように現車を確認という行程がなく書類による届出だけでナンバーがもらえたり、記載事項の変更が出来てしまう。このため届け出る者の裁量一つでどうにでもなってしまう、例えば400のエンジンを載せたバイクを250と不法に書き込めばそれで軽二輪としての届け出はOKで下記の様な「軽自動車届出済書証」が交付される。
これは軽自動車検査協会の検査官から聞いた話で彼らも困った問題でどうしようもないとの事だった。
これと同じような事が250サイドカーにもあり、保安基準では軽二輪は長さ2.5m・幅1.3mとありこれらをオーバーすると自動二輪に格上げとなり車検の対象となる。サクマ製のオミクロンとかカッパ―サイドカーのように忠実にこれらの基準に満足しているサイドカーもあるがオートバイ型の本車に普通にサイドカーを取り付けたとすると幅はほとんど1.3mを超えてしまう、「軽自動車届出済証」には側車付と記載されているがこれは
完全な違法改造車になってしまう。車検場の検査官は不法届け出には厳しく対処するという事だった。
現在の「軽自動車届出済証」には排気量とか寸法・重量等一切の記述も無いのも問題。
例えばあるショップで250にサイドカーを取り付けて「側車付軽二輪」として届けてオーナーに渡してもオーナーは正式な側車付軽二輪と思い込んでいる場合が多い、こういう場合事故を起こしたりするといろいろな問題が出てくる。
なんとも不可解な側車付軽二輪の話。
                                     
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最近の車検場での検査の傾向
 平成15年の5月から車検場での検査が厳しくなった。それまで不要灯火等は取り付けられていても配線をしていないから点かないと言えばそれで通っていたが今はちがう、電球を外し配線を根元から切らないとダメとのこと。
デコレーションのハーレーやGLは不要(不法)灯火をすべて外して検査を受けるしかない。その他排気音やハンドルの幅や形状等今までよりも
厳しくチェックしている、これは二輪車に限らず4輪車でも同じで特にディーゼルの黒煙検査は全数テスターにより測定している。
下記のような「お知らせ」が陸事から各事業所に配られてきた、これらを読んでみると今までかなりいい加減な事をして持ち込んでいたんだなと改めて感じた、以前品川の車検場で輸入代行業者に脅かされて検査官が検査を通したという事件や、消せるボールペンで通知書を偽造したりと
いろいろな不祥事があったからだとは思うがこれで迷惑を被るのはわれわれのようにまじめに検査を受けていた業者たち。
特に検査の待ち時間が長くなったのには大迷惑、中部運輸局管内では浜松の車検場の1コース当たりの受験台数が最大だと言う事を聞いた、たまに隣の豊橋の車検場に行くと何とのどかな事かと感じてしまう。豊橋の車検場は敷地も広いし軽自動車の検査場も隣り合わせなので検査を受ける側からすると「のんびりとしかも早く」検査を受けれそう。
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浜松オートバイ物語
 昭和20年代から30年代にかけ浜松では60近いオートバイメーカーが林立していた。その中の特にホンダとライラックは片や世界一のオートバイメーカーに成長、片やライラックは時代の波にのみこまれて姿を消した。
はたして両社の明暗を分けたものは何だったのか?
このような事について興味深い話が書かれている、この本の中では特にこの両社の事について詳しく紹介している。
浜松は音楽の街として楽器博物館を作ったりアクトシティでの国際的な音楽祭を開いたりして国際コンベンション都市として踏み出している。しかしもう一つの産業のオートバイに関しては「オートバイ博物館」の建設も一時持ち上がったが宙に浮いたような形だし、「浜松オートレース」も廃止の話が持ち上がっている。
著者の天野久樹氏もこの事を憂いている。
一地方自治体でこれほどオートバイに関わってきた都市は日本中いや世界中でも浜松が一番だと思われるので「浜松オートバイ博物館」の建設をぜひ実現させてもらいたい。

   
表                                       裏表紙
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ワトソニアンサイドカーの話
 ワトソニアン、この言葉だけにも心を惹かれる方もいると思う、それほどに長い間このサイドカーは形を変えることもなく親しまれてきた。
私の所のお客さんでも多くのオーナーがいるし、新たに取り付けたりしている、ほとんどがGPスポーツ型が多い。
ボデ−の形は変わっていないがフレームが少しずつ変化してきている、つまりバイクの大排気量化に伴い強化されてきているのだ。
しかしループフレームの形状やサスペンション形式、取り付けアタッチメント方法等まだ問題も多い。
その中でも標準装備の取り付けアタッチメントは何にでもでも取り付けられるとの事だが裏を返せば何にでも満足には取り付けられないという事になる、実際大馬力のカウル付きのモデル等には使えない。
複雑な形状のアタッチメントはカウル付きのボデ−には不向き、たくさんのボルトで締め付けているのも不安要因、ナットの部分からサビが出ているのを見かけることがあるがナットが緩んでいる証拠、取り付けボルトの径も数十年前のもので不安に感じている方もいる。
私のところではそれらの不安を解決するためにほとんどの場合独自のアタッチメントを作り取り付けている。
本来はループ形状のフレームももう少し強化し、サスペンションも数十年前のではなくもう少しストロークの取れる現代的なサスに改造したいところ。
それらが解決されれば古典的なボデ−スタイルながら現代的な足回りを得て味のあるいいサイドカーが出来るだろう。

 
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バッテリーの話
 サイドカーを取り付けた場合バッテリーを標準より大きいものに変えたり並列にもう一つ追加したりするのをよく見かける。
以前にもあった事例で、並列バッテリーで両方共もう古くなってきたのでロングツーリングの前に片方だけ新しくして走ってきたはいいが次の日の朝、旅先でセルは回らない。並列配線は図@のように走っている間は負荷があるのでS/Wを通りA矢印のように流れるがS/Wを切ってしまうとB矢印のように回路ができてしまい一晩のうちに新しいバッテリーもアガッってしまう。本来バッテリーを2コ使って容量を増やす場合は図Aのようにアイソレーターというものを使って充電電流をそれぞれに充電し、負荷はカー側とオートバイ側とに完全に分けた回路を組めば片方だけ新しくするという事も可能です。
ただしバイクの発電機の容量がそれなりの大きさであるという前提です。
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バッテリーの話をもう一つ
 BMWはバッテリーにデリケートという話。
30年以上も前のが元気に走っているBMWにはそれぞれの年式の弱みがある。
最新R1100シリーズではバッテリー電圧が少し下がっただけでABSが働かなくなる。
K100シリーズでは電圧の下がったバッテリーを使い続けているとコンピューターに無理がかかり、痛めてしまうことがある。
R100シリーズではエンジン始動時の負担が大きいため弱ったバッテリーで無理してスターターを回しているとモーターを痛めてアッセンブリ交換になってしまう。特に一本サスのR100シリーズにはしっかりしたバッテリーを使いたい。
旧タイプのアールズBMWでは配線が古くなるとバッテリーを新しくしてもヘッドライトに届く頃には6Vが4V以下にまで落ちてしまいライトが暗くなる。配線を新しくすれば0.5Vほどの電圧降下ですみ6Vでも充分明るく車検もすんなり通ります。それぞれの年代でBMWはバッテリ管理は重要な問題。
R,K100シリーズでは間違ってもディスカウントの軽四輪用を使うような事はしないで下さい。
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ブレーキの話
 最近のバイクのディスクブレーキのパッド交換の時に気がつくのは図のように前進方向に回転する時にだけパッドがキャリパー本体に横の部分が押し付けられるようになった構造になっているという事。
以前はキャリパー本体にスッポリ入り込むように作られていたのだがコストダウンによりバックギヤのないバイクには片方だけ壁を作っておけばいいという発想。数年前の別冊MCにこの事が出ていて質問者がサイドカーのアールズフォークに前後逆に付けた時は危ないをいう質問をしていてメーカー側ではそんな使い方は想定そていないというようなのがあった。
逆向きに使うとパッドがローターと一緒に回ろうろするのを止めるのは2本のピンだけになり重量の増えるサイドカーにこのような使い方をするのは危険。それを見分けるのは簡単。
最近のバイクのFブレーキはほとんどフォークの後ろ側にキャリパーを付けているのでそれを前側につけているのはちょっと疑った方が良いのかも。ただしEML等写真のようにキャリパーサポートを作っているのは安心です。
アールズフォークのフローティングキャリパーのトルクロッドの平行度。これはおもしろいですね。
ホンダの皇室警察のサイドカーのカー側のサスペンションで特許広報に載っていたのを思い出すが、私のところではそれの逆のような事をやって少し味付けをしている。
特許広報ではブレーキングで前のめりを防ぐためトレーリングリンクをトルフロッドの平行度を変えてノーズダイブを防ぐというもの。逆な平行度にする事によりアールズフォークでもフロントブレーキをかけた時フロートが少ししずみ込むようにすると同じブレーキでも少しききがよくなったような感じになる。
旧タイプアールズBMWやスーパーカブのように前ブレーキをかけるとフロントが持ち上がるようなブレーキは効いていてもつっぱっているだけであまり効いていないような感じがするもの。
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溶接のビード延長の話
 首都高の標識ポールが折れて下を走っていたBMWの乗用車を直撃した事故はまだ記憶に新しいがあの事故の一番の原因は何だったのか?
常に振動して使用されるオートバイのパイプフレームにも同じ事が言えるのだが原因は肉厚が規定より薄かった事と溶接ビートの形状が不適当だったという事。
テレビで見たポールはイラストのように折れていて充分予想される折れ方だと思う。その点バイクのフレームでは点線のようにビードの延長を入れたりして対策をしている。振動による亀裂は穴の部分とか溶接の終わりの部分からが一番多い。
サイドカーでよく似た部分がアールズフォークのメインチューブのアブソーバー上下部の取付部。
最上のEMLでもこの辺かなり意識してビードの延長を入れている、BMWのフレームにも昔からよく見られる。
あるサイドカーメーカーのアールズフォークのステアリングプラケットの下のメインチューブに円周方向に溶接を入れているのを見たが心配になってしまう。
この辺もサイドカーを選ぶ時の基準になればと思う。
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強化スプリングについて
 サイドカーを取り付けた場合昔からよくスプリングを2〜3割強くと言われているが何が2〜3割なのだろう?バネの太さ?長さ?巻数?・・・たぶんバネ定数だと思われる。
このバネ定数の計算式は
K= G d G:横弾性係数
―――――――――― Na:有効巻数
8 Na D d:線径
D:バネ平均径
この式を使ってアールズフォークの2本のサスの片方を計算してみると2〜3程度になると思う。
式でわかるとおり分母にあるNa及びDが大きいとバネは柔らかくなる。巻数が多いほど、又バネ径が太いほど柔らかくなる。そして分子にある線径が太いほどバネはかたくなるということになる。
そのほかバネには不等ピッチ・たる巻きのコイルスプリング等がバイクに使われてプログレッシブ効果を狙っている。
よくスプリングを強くするといってスペーサーをかうことがあるがこの方法だとバネ定数は変わらず初期しずみ込みの荷重が変わるだけでバネが強くなった事にはならない。
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BMWのドライブシャフトについて
 BMW特にKシリーズにサイドカーをつけている場合に要注意なのがドライブシャフトの破損。先日もKIにEMLのコンビネーションが3万km弱で前側のユニバーサルジョイント部分が破損して立ち往生、ロックした状態なのでクレーンのついたトラックで引き上げ分解してみたところユニバーサルジョイントのヨークの部分が引きちぎられてシャフトケースの中で散乱していた。聞くところによるとドマーニ等も3万km毎に要交換と指定されているよう。
ドマーニオーナーの間では周知の事実らしい。R100シリーズの頃には聞かれなかったトラブル。R100シリーズではシャフトケースにオイルが入っていたりパワーもあまりなかったのでそんなトラブルはなかったのか、グリップのよい四輪車用のタイヤをリヤにはめているKシリーズのサイドカーでは早めの定期的な交換が必要になります。
ドマーニをよく扱っているあるショップでは車検ごとにドライブシャフトを交換しているという。100km/h以上のスピードで走っている時にジョイントが引きちぎられた時のことを考えると早めに交換するのがいいのかも知れません。
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認証整備工場
 最近ユーザー車検とか代行車検が増え窮地に立たされているのが一般の整備工場。代行車検と整備工場での車検とではどこが違うのか?
代行車検は検査を受けるだけで整備がない。ないというよりブレーキ等の分野整備はできないということ。だから車検を通したといっても次の日にブレーキが効かなくなったとしても何ら不思議ではないし代行業者には責任もない。
それに対し整備工場での車検は整備士による整備を伴う車検なので保証書付きの分解整備記録出を発行して、ユーザーに対しても責任を持つ。当然車検代金も代行業者より高くなる。
現在バイク屋で認証をとっているところは非常に少ない。私が以前北海道へツーリングに行った時、不覚にもバッテリー上がりをおこしてしまい、知床へ向かう前にと思い北見市でバッテリーを替えてもらうことにした。
ハーレーのバッテリーを持っていそうなバイク屋を電話でさがし「マック北見店」という店へ行く。とっつき悪そうな若い店主にバッテリー交換してもらいながら店内を見ると二輪認証の標識があった。冬の間、雪や寒さでバイクには乗れない時期が長いにも関わらず前向きな店だと感じた。
作業を終え少し話をしていくと多くは語らないが信頼のおけそうな気のいい店主と少し打ち解けた。
認証を受けるためには整備士の資格、工場の広さ、整備用の機械工具等の基準を満たしていなくてはならず普通のバイク屋では認証をとらずに業務をこなしているところが多い。それだけに認証工場での整備は責任があり信頼できるとも言える。
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