修理日誌

022. ハーレー FLH 純正サイドカー 91年 走行62000Km
 No.018のハーレーサイドカー、ミッションの修理が終わり長野・白馬へのツーリングの途中ミッショントップカバーにオイルが溜まっていると云う、修理したばかりのミッションからオイル漏れかとドキッとした。出先なのでオイルをよく拭いて帰ってから調べようという事になり様子をみながら帰る。
良く見ると後シリンダーヘッドカバーの後端からのオイル漏れと判明、そのオイルが真下のミッションカバーに溜まっていた、さっそくタンクを外しヘッドカバーのガスケットを調べると画像のように
パリパリになり切れていた。この頃のハーレーは紙のガスケットを使っているため一番熱を持つ後シリンダーの後ろ側(排気側)が硬化して切れてオイル漏れとなる。
今度は対策品のメタルのガスケットを入れて修理完了。
車種によっても違うようだが99年ころのツインカムあたりからハーレーの新車にもメタルのガスケットに替わっているようだ、しかし紙のガスケットでも10数年、6万キロ位までは持つということになる、但し使用条件にもよるが個体差はあるので一概には云えない。
あと今回の教訓で長距離ツーリングの時に余裕があればパーツクリーナーを1本持って行くと今度のような場合役にたつと感じた。
021. ハーレー FLH 純正サイドカー 86年 走行52000Km
 No,019のハーレー、ミッションの修理が終わり試運転してみる、何かおかしい。
止めた状態で車体を左右に揺すると前、下のジョイントの部分にガタがある、外してみるとピロボールのアウター部分のカシメが緩くなって外れはしないが5ミリほど移動する。
写真は左がガタの出た古いもの、右の新品に比べるとアウター部分がわずかに飛び出ているのがわかる。
以前、他の車両でネジ山の部分で折れたという話は聞いたことがある、このようなガタが出たというのは初めてだ。
こればかりはグリス注入をこまめにしていても防げれない。
020. BMW K1200LT サイドカー 01年 25000Km
並行輸入のK1200LTサイドカー(EZSサミット)にはイモビライザ―が付いていた。
BMWは以前にも記したがバッテリー管理をしっかりしておかないといろんなトラブルが起きる。
国内向けには電波法の関係でイモビライザ―は付いていないのでメインスイッチOFFでバッテリーからの電流は時計のみの僅かしか流れていない、しかしイモビライザ―付きはセットされた状態だとかなりの電流が流れていて1週間もしないうちにバッテリーがカラになってしまう。コンピューターを使っているモデルをこの状態で他の車両からブースターケーブルでエンジン始動をするといろいろと影響が出るようだ、このオーナーもブースター始動をしてからイモビの設定が狂ってしまいセルモーターが回らなくなってしまったと言う。幸い英文のイモビライザーの取り扱い説明書があったので日本語に訳してもらいそれを見ながら再設定し直したら元通り始動出来るようになった。微弱電流で常に充電する充電器があるのでそれを勧めておいた。
019. ハーレー FLH純正サイドカー 86年 52000Km (バックギヤ付き)
 またしてもハ―レーのミッショントラブル、発進する時にグッグッと云う感じでスムースに出て行かないと言う、これはクラッチだなと思いクラッチパーツだけを注文してバラさずに他の仕事をしていた。部品が来てクラッチをバラしてみても異常がない、クラッチワイヤーも替えるつもりだったのでオイルを抜いたところ金属片が出て来た。レリーズカバーを外してよく調べるとメインシャフトをドライバーでこじると僅かに動く、本来ナットの部分にリバース用のギヤが付いていてベアリング部分が見えないがこれはベアリングの破損だなと思った、大変な仕事だ。前述した通りナットの変わりにギヤにネジを切ったもので締め込んであるし回り止めのキーが打ち込んである、ハーレーのバックギヤはいろんな所で作っているので歯数のちがう手持ちの特工では合わない、打ち込んであるキーを抜くのも大変な作業。
観念してサイドカーを外し順番にバラしていき一部特工を作ったりして何とか修理完了。
入庫してから2ヶ月程かかってしまった。
018. ハーレー FLH純正サイドカー 91年 走行55000Km
 東北へ長距離ツーリングの途中、高速を降りた所で異音がして走らなくなってしまったという電話が入った。電話で判断する限りミッションかドライブプーリーかと考えたがなにせ茨城ではこちらもすぐには動けない、しばらくして近くにハーレーのサブ代理店があったのでそこから引き取りに来てもらう事にしたと又電話があった。しかしその後そこでは直せないと云うので仕方なく浜松から日立・太田 I・C近くのその店に引き取りに行くことにした。戻ってきて調べた結果ミッションのメインドライブギヤにスプラインを介してナットで締め付けられているドライブプーリーが空回りしていた。ナットにはゆるみ止めが付いているが長い間に外れてナットが緩んでしまったようだ、外からは確認しずらい所なので4〜5万キロほど走ったらプライマリーケースを外してナットの緩みを確認したい所。写真の手前がスプラインがナメてしまったドライブプーリーとスプライン部が細くなってしまったメインドライブギヤ、奥が新品のプーリー。それにしてもHDのサブデーラーでこの程度の修理が出来ないものなのか、それともことわる口実だったのか?このような話は他からも耳に入ってくる。
017. BMW R1100RT サイドカー 96年 走行70000km
 走行キロ数が多いせいかオイルにじみが少しずつひどくなってきたと言う。
この車は以前ヘッドカバーまわりからオイル漏れがあったのでカバーまわりのガスケット一式を替えたが今度はシリンダーベースあたりから漏っているみたいだ。
RTサイドカーなのでカウル一式とタンクを外しサイドカーのボディを下ろしてから作業にとりかかる。
サイドカー付き、フルカウルと熱の影響をうけやすい上に走行距離も7万キロと多く他の1100シリーズの修理の先例になりそうだ、この車はこれ以外にも電気回りのトラブルでI・Gコイルを替えている。
その他細かいトラブルはあるもののサイドカー付きで7万キロ以上も走っているわりにはこの程度の故障でR100シリーズより丈夫かもしれない、クラッチもまだ一回も替えていない。
ただひとつの泣き所はサイドカー付きとフルカウルのついているところ、R1100Rあたりならもっと整備しやすいのかと思われる。
016. BMWR100RSサイドカー 82年 走行32000km
 走行中急にチェンジペタルに手ごたえ(足応え?)がなくなりギヤが入ったまま入れ替えできなくなった、82年頃までの2本サスのRシリーズに多い故障。
チェンジカムを送るツメをカムに押さえつけているスプリングが折れたときの症状、こうなるとバラさない限りギヤを入れ替える事はできない、重力でツメがカムから離れる構造になっているから。
2速あたりで折れたならばいいが4とか5速で折れてしまうとスタートできなくなってしまう。
どうしてもギヤ位置を移動したい時は車体を裏返してギヤを2速あたりまで移動させればいい、とはいうもののクレーン等があり吊って逆さまにできるならともかく普通に裏返してというのでは車体のダメージが多きすぎるかも。
015. ハーレーFLH サイドカー 89年 走行21000Km
 90年以前のFLH等でよくある重いクラッチ、この車もワイヤーやクラッチディスクを替えたりしている。
それでもまだ重いというのでもう一度各部を点検、この車は後付けのリバースギヤをつけているのでプッシュロッドが3段になっていてこれも影響しているかもしれない、S45Cで1本物のロッドを作り直す。
ダイヤフラムスプリングのふくらみ具合を見るとややふくらんでいる、取り付け穴は一番凹む位置だ。
クラッチの重さはこのダイヤフラムスプリングが平面になった時が一番軽くなる。
プレッシャーカバーを調べると写真のようにスプリングの当たる部分がかなり段付きで減っている、これを社外品のカバーと交換、純正品だとスプリングの位置決めの突起が3ヶ所ありこれにスプリングが乗りあがるようになり余計おもくなるようだ。以上の2点の変更である程度軽くなりオーナーも納得している。(写真は上が純正で段付き摩耗している物下は社外品の新品のカバー)
014, ホンダ GL1500 サイドカー 89年 走行12000km

 旧年式のGL1500に見られる症状で故障とは云えないかも知れない事。
ソロバイクの状態の時に転倒時にエンジンを自動的にストップさせるバンクアングルセンサーというのがうしろのトップケースの下に付いていて、路面の凸凹等で敏感に反応してしまいエンストを繰り返してしまうという。
対策品が出ているらしく新しい年式のものにはこのような症状はないようだ、対策品に交換すればいいのだがサイドカーならば転倒するという事もあまり無いので直結するようにした、写真のようにシートを外し緑のカプラを抜きその内の2本を直結する、色は緑の線と赤/白の線、白の線はそのままにしておく。
これによりバンクアングルセンサーは働かなくなり不意にエンストする事が無くなる。
013. BMW R100RS サイドカー 91年 走行13500km
 R100シリーズお決まりのプッシュロードシールからのオイル洩れ。
10年近くするとほとんどのはシールゴムの交換をしなくてはならない。
このR100RSは2度目なのかはじめからこのように組まれておたのかわからないがヘッドガスケットが裏返しについていた。どちら向きでもつくのだがプッシュロッドの穴の部分がわずかにずれてしまい写真のようにロッドの表面にキズがついていた。このRSはタンクやカウルの塗装面にもつやがなく全体にくたびれた感じ。20年以上すぎているBMWの方がしっかりしている。
この年代のBMには他にもつやがなく全塗装をし直したR100RSもあった。
012. ハーレーFXR ローライダー 88年 走行16290km
 エンジン始動の際、時たまクーという感じでうまくクランキングができないという。
そのうちもっとひどくなり異常な時の方が多くなった。左側のプライマリーケースを外しピニオンギヤと一体になっているワンウェイクラッチを交換する。手で回るほど滑っているわけではないがビックツインを回すのには滑りが出るようだ。ハーレーはエンジン始動の時大電流が必要になりちょっと弱っているバッテリーだとセルモーターが思うようにまわらない。
最近私の古いハーレーに純正のMFバッテリーをつけてみた。今までは新しいバッテリーでも2週間も放置するとセルの回りが悪かったがこのMFバッテリーは非常に具合が良い、ビックツインを軽々と回す。
011. ハーレーFLHサイドカー 88年 走行42000km
 特に釘等がささっているわけではないのだがカー側のタイヤのエアーが1週間位で抜けてしまう。アルミホイールがチューブレスタイヤと接する部分が長年の使用で水分等を含んで白い粉を吹いてきて全周にわたってエアーもれをおこしていた。
タイヤの山が残っていてもある程度の期間を過ぎたらタイヤは交換したい。それからチューブレスバルブ
も古くなるとゴムの部分に亀裂がはいってエアーもれを起こすのでよく調べたうえで交換する。
最近始まった窒素ガスをタイヤに充填することはアルミホイールの腐食防止には効果的だと思う。
   
010. BMW K100RTサイドカー 85年 走行32000km
 始動性はいいのだが加速していくと息づきを起こしてしまいスムーズな加速が出来ない。
はじめエアーエレメントがつまっているのかと思い調べてみたが異常なし、それではと調べてみるとやはりフューエルフィルターの詰まり。K100のフューエルフィルターはガソリンタンクの中にあり見落としがちになるが定期的な交換が必要。写真の下側のフィルターは目詰まりを起こしたフィルターを半分に切ったもの。
   
009. BMW R100RSサイドカー 80年 走行21000km
 約一年間乗らずに車庫で眠っていたRS。
車庫へしまう前にガソリンタンクのコックからガソリンをすべて抜いたのだが完全に抜けきれずに残っていた古いガソリンが腐ってタンクに穴を明けてしまった。
結局中古のタンクを探して取り替えた。この車はガソリンタンクが腐って穴があいたのは二度目だとの事。
ガソリンスタンドにも問題があるのかも?
   
008. BMW R100ロードスター 92年 走行51200km
 車検整備でプッシュロッドのオイルもれの修理等をすませキャブ調整をしたがまだアイドリングが不安定。
キャブレターのスターター(チョーク)通路のガスケットが長年の使用で縮んでしまいそこからエアーを吸っていた。この部分のスクリューはネジロックが効いているため気をつけてゆるめないと折れてしまう。
M4のサラネジなので折れると大変。
  
007. ハーレーFXR ローライダー 92年 走行不明
 ドライブベルトの張りを調整していて気がついたのだが,張るところとゆるいところがある。昔、国産車のチェーンでも同じようなことがあったのを思い出す。リヤスプロケットの部分をダイヤルゲージで調べてみると0.8〜0.9ミリほど偏心している。旋盤で外周部分をつかんでセンター部分の内径を0.2ミリほどの振れを残して削った。内径部分に少しガタが出たが0.5ミリほどの厚みのブリキをはさんで取り付けて振れを0.2ミリほどにおさめて取り付けた。
  
006. ハーレーFXR ローライダー 92年 走行不明
 チェンジペダルのリターンスプリング折れの修理。
折れたスプリングはミッションケースの上のカバーをはずせば見えるのだが、これが簡単に交換が出来ない。左側のプライマリー側を全部外しギヤアッシーを右側へそっくり抜かないとスプリングの交換ができない。
エンジンからリヤホイールまでの伝達経路の構造がBMWに比べるとハーレーはなんと非合理的なことか。先のリヤスプロケットにしてもBMWではありえないような工作精度、何とおおらかな事かと思う。
  
005. BMW R75/5 72年 走行3080km
 メインスタンドのストッパー部分が長年の使用で減ってしまいスタンドを立てた時に前側に倒れ過ぎてしまう。こうなるとスタンドをはねる時にかなり力を必要とするし、はねずに前へ移動してしまうことがある。
それにしてもこの頃のBMWのメインスタンドは重かった。今の1100シリーズは重量があるにもかかわらず随分軽くスタンドを立てられる。今回はエキパイ、マフラーをはずしてフレーム側に鉄片を当て溶接、スタンド側にも肉盛りをして整形した。
  
004. BMW R100RSサイドカー 82年 走行25000km
 ミッションのチェンジタッチが悪い。チェンジはできるのだがカチッカチッと決まらないという。写真中のシフトカムの位置決めをしている白いナイロンローラーが割れているために起こる症状。走って走れないことはないのだが、割れたままいつまでも使っているとピンが摩耗してしまう。カムを送るレバーのスプリングも折れやすいのでここまで分解したらスプリング類も全部交換する。
  
003. BMW R100/7サイドカー 79年 走行不明
 相当走り込んでいると見られるR100/7、あちこち心配な部分があるがファイナルギヤとホイールを連結しているドッグの部分が異状に摩耗している。メーター読みでは1万数千キロだが実際には10万km近く走っているのではないかと思われる。ドッグの1枚の歯の厚みが標準の1/3近くにうすくなっている。サイドカーがついているので、歯が欠けだしたら一気にいきそう、。今回は中古のファイナルギヤアッシーと交換した。
  
002. BMW R100RS 90年 走行5500km
 このRSは以前、軽い衝突事故を起こしヘッドカバー等を交換して特に異状がみられなかったのでそのまま走っていた。今回車検で片側からのみオイル洩れがするというのでバラしてみるとシリンダベースのOリングが入る部分で半周にわたり亀裂が入っていた。ちょうどOリングが入る溝の部分のためにそこからオイル洩れをおこしていた。アルミシリンダエンジンの場合シリンダーがエンジンブロックに入リ込む部分もアルミで一体にできていてOリングの入る部分の肉厚がうすくなっているので少しの衝撃でも亀裂が入ってしまう。
  
001. ハーレーFLH サイドカー 88年 走行42000km
 車検整備でフロントタイヤを交換する。新品のタイヤを組込みブレーキの整備をすませて取付けてからホイールを回してみるとゴロゴロとF・フェンダーに響くような音がしている。新しいタイヤがフェンダーの一部に当たっているかのような感じ。調べてみるとホイールべアリングが両方とも虫食いのようになっている。走行は42000キロだがサイドカーがついているため早く摩耗したのかも知れない。

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