大中寺釈迦如来尊像造立記

籔内佐斗司

 大中寺光悦和尚の永く篤い願いが成就されて、お釈迦さま37歳の生身のお姿を写したと伝える清凉寺式釈迦如来立像が、このたび開眼法要の日を迎えましたことを、こころよりお祝い申しあげます。また、茶道史研究の第一人者・熊倉功夫先生からのありがたいご縁で、私が謹刻の栄を賜りましたことを何よりの名誉と感じ、あらためて御礼申し上げます。
 京都 清凉寺嵯峨釈迦堂に祀られている釈迦如来立像は、10世紀にインドから中国にもたらされ、宋の都・開封において信仰を集めていたお像を、東大寺僧・然が地元の仏師に精密に模刻させてわが国に舶載し清凉寺に祀ったといわれています。そして、お釈迦さま本来の教えとは何かがわが国で問われ始めた鎌倉時代に、生身のお姿を写したこのお像に倣った釈迦如来像がたくさん造られました。現在、全国に100体あまりが確認されていますが、その最も新しいお姿が、大中寺像となりました。
私は制作にあたり、清凉寺像はもちろん、奈良の西大寺、唐招提寺、目黒の大圓寺などに安置されている御像を子細に拝しながら、私なりの創意も加えつつ、約一年をかけて造らせて頂きました。胎内には、原本像と同じく、ご住職が自ら縫製された絹製の五臓六腑が納められます。
 なにかと殺伐とした世情にあって、本像を通じ、お釈迦さまの智慧とお慈悲が参詣のみなさまに普く行き亘ることを願っています。合掌。

籔内佐斗司
1953年大阪市生まれ。彫刻家、文化財保存修復家
東京藝術大学名誉教授、奈良県立美術館館長ほか



 
Schedule of Events  行事予定
献 膳
1月7日  昭和天皇御忌
2月15日  涅槃会
4月8日  花祭り
4月11日  昭憲皇太后御忌
5月17日  貞明皇后御忌
6月6日  寛仁親王御忌
6月20日  お盆 おせがき
9月31日  夢窓国師毎歳忌
11月5日  達磨忌
12月8日  成道会
12月25日  大正天皇御忌