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第34回 梅見の会
平成23年2月11日 下 山 光 悦 思えば梅見の会も、平成23年には何と34回を数えるまでになりました。住職を拝命して間もなく始めましたから当たり前ですが。その間、雪の日が一回、そして雨の日は数える程の確率でした。今年は雨模様でしたから、珍しい会だったことになります。10時半からの赤松林太郎さんのピアノに始まって、金澤翔子さんの席上揮毫。午後からは浅草の紗幸さんのお話や芸妓連の踊りと盛り沢山の催し物になりました。 中でも89歳の高齢にも拘わらず、老体に鞭打ってご家族でお越しいただいた那珂太郎先生には、胸熱くなるものを感じました。34回という梅見の会は、かりそめのではなく、人生をかける程の会に育って来たのかも知れません。太宰府には梅はあろうに遠く九州からも駆けつけて下さった友人の顔もありました。久しぶりに会う彼女の笑顔の中には、病み上がり風情が漂っていました。 金澤翔子さんの揮毫を見ようと集まったお客様の中には、幼いダウン症の子供を胸に抱いたお母さんの姿も見受けられました。それぞれの思いを胸に抱いたお客様に映った梅の花は、如何ばかりだったでしょうか。 ある人には梅が西行の歌の如く、命なりけりと映り、また人によっては、梅に人生の応援歌を聞いて帰られたことでしょう。私の思いが重なってきたからかも知れませんが、今年ほど、梅見の会が梅をみることで終わらない、いや終わらせてはならないと強く感じた年はありませんでした。 赤松さんのピアノの音に耳をそばだてながら、「限りある命の時を忘れけり君が奏でる雨だれの音」(ショパンの雨だれ)の歌がひょっと浮かんで来ました。限りあるもち時間の中で、それぞれの思いを胸に梅の下に集う不思議さを噛みしめたひと時でした。 若くして始めた会も、34回と回を重ね、檀家や地域、そして友人の協力もあって、年々盛んになりますが、梅の香もいよいよ人の胸の深みにまで届いているという手ごたえを感じました。唯のイベントではない、住職という私の立場でなければ出来ない会をこれからも目指したいと思います。そういえば、岡本かの子に「としどしにわが悲しみは深くしていよいよはなやぐ命なりけり」の歌がありました。 |
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