とあるもう一つの側面

二人の男の前には上物の酒が置かれている。
お互い手酌で飲みながら、忍びやかに笑う。

「天伐党が潰れたって?」
「晋助の予定通りでござるな」
「ありゃ武市の策だろ。銀時と天伐党をぶつけちまえっていうな。目障りだからどっちに転んでもいい話だ。まあ、大山如きに銀時をどうにか出来るとは思えねぇがな」

高杉は手にした杯を空けた。
万斉には高杉の気持ちが読めない。銀時の強さを認めてはいるのだろうが、死んで欲しいのか、それとも殺したくはないのか。

「坂田はおぬしの存在に気付いたと思うか?」
「そりゃ気付いただろ。あんなくっだらねェ言葉遊び覚えてんのは俺と銀時、それにヅラくらいのもんだ。あとはみんな死んでる」
「……晋助」
「さて、天伐党も少しは目くらましにはなるだろ。……動くぜ」

黒く獰猛な獣はニヤリと嗤うと、暗い闇へと消えていった。


あの日々は二度と戻ってこない。

2007.04.21

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