18 それぞれの食卓


真選組の朝食

「おぉ、トシ!おはよう!」
「おはよう。てか相変わらず朝っぱらからテンション高けーな」
「はっはっは!今日はオフだからな。お妙さんとのランデブー!」
「せいぜい死なないような。で、近藤さん、メシ何にする?」
「必勝のカツ丼で!」
「おばちゃん、俺は焼き魚定食な」
「おはよーございまーす」
「総悟、おはよう」
「って、朝っぱらから人に刀向けてんじゃねー!」
「いやぁ、もう条件反射なんで。あ、俺モーニングセットで」
「そういや総悟これから寝るんだろう?御苦労だったな」
「たいした相手じゃありやせんでしたよ。でも、なーんか面倒になりそうな気がしやすぜ」
「はい、お待ち。副長さんにはマイマヨ付きで」
「すまねぇな」
「トシ〜、焼き魚定食にマヨはないだろ」
「何言ってんだ。魚とマヨの絶妙なハーモニーが、最高に合うんだって」
「近藤さん、無駄ですって。相手はマヨさえあれば残飯ですら食えるような人間ですぜ」
「誰が食うかァァァ! 」

「あの人らも毎朝毎朝よくやるよ……」

もはや真選組の朝の恒例行事となっているのでした。

万事屋の昼食


「なー、新八」
「何です?」
「笑っていいかものテレホンショッキングで、タモさんがゲストを何年振りの登場ですって紹介したとき、俺コイツ前に登場した回見たなァって思うと虚しくならねェ?」
「仕事探してこいヨ駄目人間」
「神楽ちゃんの言う通りですね。今週ずっと仕事ないじゃないですか。そういや昨日と同じおかずですよコレ」
「いやいや何だって三人で揃って飯食うとか幸せじゃね?」
「三人で仕事して、お金が入ったらもっと幸せですね……え?」
「ぱっつあんよー」
「銀ちゃん幸せアルか!」
「え?!」
「僕も確かに聞きました!」
「いや、なんつーか言葉の綾っーか、だから、その……ダァアアアア!お前らさっさとご飯食べなさい!お母さん片付け出来ないでしょ!」
「誰がお母さんだよ。しかも、今日の当番僕じゃん」
「銀ちゃん」
「何だよっ」
「私、今幸せヨ」
「僕もです」
「あのな……」
「だから、明日もこうやってご飯が食べられるように、頑張って仕事探しましょう」
「三人なら何でもやれるネ。万事屋銀ちゃんにお任せヨ」
「……あーもう分かったよ!ったく、お前らには敵わねーな」
「そりゃ大人は子供には勝てないようになってるんです。ねぇ?」
「それがこの世の定めヨ」
「ハイハイ。んじゃ、食い終わったら、仕事探しなー」
「「ハーイ」」

万事屋は今日も平和です。

桂&エリザベスのおやつ

「もう3時か。エリザベス、お茶でも飲もうか。程よく休憩を取るのも大事なことだ」
『桂さん、ケーキを作ったので一緒に食べましょう』
「ほほう、エリザベスがケーキまで作れるとは知らなんだ。これは楽しみだな」
『今持ってきますね』
「うむ」
『どうぞ』
「なんと!エリザベスではないか!」
『スマイル動画でやってたんで、試しに作ってみました』
「……凄いな、お前」
『早速食べましょう。桂さん切ってもらえますか』
「う、うむ。しかし、なんか切りにくいな……」
『ケーキですから一思いにスパッと』
「そ、そうだな。よし、せいの」
『ギャアアアアアア!』
「ひいっ!」
『あ、お気になさらず』
「……心臓に悪いな。よし、まずは頭から……」
『やめてェェェェ!』
「エリザベス!」
『あ、お気になさらず』
「…………」
『ギャアアアアアア!』
「いい加減にしろ!さっきから立て札が使い回しではないか!」
『そっちかよ』
「もう知らん!」
『ギャアアアアアア!』
「はっはっは!もはやそんなものに惑わされる俺ではないわ!」
『そんな切ると……』
「はーはっはっは!」
『ケーキ、ぐちゃぐちゃになんだろ』
「しまったぁ!俺としたことが!すまん、すまんエリザベスゥゥゥ!」
『ったくよォ、本当に使えねーよなオメー』
「エリザベスゥゥゥゥゥ!」

ケーキは全てヅラが食べました。

鬼兵隊の夕食

「皆さん、ちょっと宜しいですか」
「どうしたでござるか」
「今日の夕飯なんですが、調理番の人間が風邪で寝込んでしまったので、店屋物でも取ろうと思うんですが、何が食べたいですか」
「武市先輩、四人分くらいだったら私作るっスよ」
「武市、俺は寿司な」
「拙者は天ぷら蕎麦をお願いするでござる」
「ちょっとォ!二人とも人の話聞いてるっスか!」
「ふむ、私は鰻にでもしましょうかね」
ジャキ。
「先輩、鉛玉も案外旨いかもしれないっスよ。試してみるっスか」
「また子さん、物騒なものは降ろして頂けますか。まったく、こんな猪女の料理なんて食べられるわけがないでしょうに」
「安心してくださいっス先輩。武市変平太を討った女として名を馳せてやるっス」
「また子殿」
「なんスか。邪魔しないで欲しいっス」
「それだけ言うには料理には自信があるのでござろう?得意料理は何でござるか?」
「得意っスか?やっぱり卵掛けご飯っス。私が作るのマジで旨いっスよ」
「…………武市どの、こちらへ」
「ちょっとォ!」
「また子どのは自分で作って食べれば良いでござろう」
「卵がけご飯はさすがに出前やってねぇだろうなァ」
「ちょっ、晋助様まで!」
「それじゃ、電話してきましょう」
「私、うな重がいいっスー!!」
「ハイハイ」

指名手配犯はあんまり外食とか出来ないので。

マダオの夜食

ご飯、お茶、長谷園のお茶漬けの素(鮭)。
愛用の茶碗にご飯をよそり、お茶漬けの素を振りかける。そして、お茶を入れようと、ポットを押した。

――ブシュ。

「…………ハツゥゥゥゥ!」


38歳、一人寂しい夜。

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