「おぉ、トシ!おはよう!」
「おはよう。てか相変わらず朝っぱらからテンション高けーな」
「はっはっは!今日はオフだからな。お妙さんとのランデブー!」
「せいぜい死なないような。で、近藤さん、メシ何にする?」
「必勝のカツ丼で!」
「おばちゃん、俺は焼き魚定食な」
「おはよーございまーす」
「総悟、おはよう」
「って、朝っぱらから人に刀向けてんじゃねー!」
「いやぁ、もう条件反射なんで。あ、俺モーニングセットで」
「そういや総悟これから寝るんだろう?御苦労だったな」
「たいした相手じゃありやせんでしたよ。でも、なーんか面倒になりそうな気がしやすぜ」
「はい、お待ち。副長さんにはマイマヨ付きで」
「すまねぇな」
「トシ〜、焼き魚定食にマヨはないだろ」
「何言ってんだ。魚とマヨの絶妙なハーモニーが、最高に合うんだって」
「近藤さん、無駄ですって。相手はマヨさえあれば残飯ですら食えるような人間ですぜ」
「誰が食うかァァァ! 」
「あの人らも毎朝毎朝よくやるよ……」
もはや真選組の朝の恒例行事となっているのでした。
「なー、新八」
「何です?」
「笑っていいかものテレホンショッキングで、タモさんがゲストを何年振りの登場ですって紹介したとき、俺コイツ前に登場した回見たなァって思うと虚しくならねェ?」
「仕事探してこいヨ駄目人間」
「神楽ちゃんの言う通りですね。今週ずっと仕事ないじゃないですか。そういや昨日と同じおかずですよコレ」
「いやいや何だって三人で揃って飯食うとか幸せじゃね?」
「三人で仕事して、お金が入ったらもっと幸せですね……え?」
「ぱっつあんよー」
「銀ちゃん幸せアルか!」
「え?!」
「僕も確かに聞きました!」
「いや、なんつーか言葉の綾っーか、だから、その……ダァアアアア!お前らさっさとご飯食べなさい!お母さん片付け出来ないでしょ!」
「誰がお母さんだよ。しかも、今日の当番僕じゃん」
「銀ちゃん」
「何だよっ」
「私、今幸せヨ」
「僕もです」
「あのな……」
「だから、明日もこうやってご飯が食べられるように、頑張って仕事探しましょう」
「三人なら何でもやれるネ。万事屋銀ちゃんにお任せヨ」
「……あーもう分かったよ!ったく、お前らには敵わねーな」
「そりゃ大人は子供には勝てないようになってるんです。ねぇ?」
「それがこの世の定めヨ」
「ハイハイ。んじゃ、食い終わったら、仕事探しなー」
「「ハーイ」」
万事屋は今日も平和です。
「もう3時か。エリザベス、お茶でも飲もうか。程よく休憩を取るのも大事なことだ」
『桂さん、ケーキを作ったので一緒に食べましょう』
「ほほう、エリザベスがケーキまで作れるとは知らなんだ。これは楽しみだな」
『今持ってきますね』
「うむ」
『どうぞ』
「なんと!エリザベスではないか!」
『スマイル動画でやってたんで、試しに作ってみました』
「……凄いな、お前」
『早速食べましょう。桂さん切ってもらえますか』
「う、うむ。しかし、なんか切りにくいな……」
『ケーキですから一思いにスパッと』
「そ、そうだな。よし、せいの」
『ギャアアアアアア!』
「ひいっ!」
『あ、お気になさらず』
「……心臓に悪いな。よし、まずは頭から……」
『やめてェェェェ!』
「エリザベス!」
『あ、お気になさらず』
「…………」
『ギャアアアアアア!』
「いい加減にしろ!さっきから立て札が使い回しではないか!」
『そっちかよ』
「もう知らん!」
『ギャアアアアアア!』
「はっはっは!もはやそんなものに惑わされる俺ではないわ!」
『そんな切ると……』
「はーはっはっは!」
『ケーキ、ぐちゃぐちゃになんだろ』
「しまったぁ!俺としたことが!すまん、すまんエリザベスゥゥゥ!」
『ったくよォ、本当に使えねーよなオメー』
「エリザベスゥゥゥゥゥ!」
ケーキは全てヅラが食べました。
「皆さん、ちょっと宜しいですか」
「どうしたでござるか」
「今日の夕飯なんですが、調理番の人間が風邪で寝込んでしまったので、店屋物でも取ろうと思うんですが、何が食べたいですか」
「武市先輩、四人分くらいだったら私作るっスよ」
「武市、俺は寿司な」
「拙者は天ぷら蕎麦をお願いするでござる」
「ちょっとォ!二人とも人の話聞いてるっスか!」
「ふむ、私は鰻にでもしましょうかね」
ジャキ。
「先輩、鉛玉も案外旨いかもしれないっスよ。試してみるっスか」
「また子さん、物騒なものは降ろして頂けますか。まったく、こんな猪女の料理なんて食べられるわけがないでしょうに」
「安心してくださいっス先輩。武市変平太を討った女として名を馳せてやるっス」
「また子殿」
「なんスか。邪魔しないで欲しいっス」
「それだけ言うには料理には自信があるのでござろう?得意料理は何でござるか?」
「得意っスか?やっぱり卵掛けご飯っス。私が作るのマジで旨いっスよ」
「…………武市どの、こちらへ」
「ちょっとォ!」
「また子どのは自分で作って食べれば良いでござろう」
「卵がけご飯はさすがに出前やってねぇだろうなァ」
「ちょっ、晋助様まで!」
「それじゃ、電話してきましょう」
「私、うな重がいいっスー!!」
「ハイハイ」
指名手配犯はあんまり外食とか出来ないので。
ご飯、お茶、長谷園のお茶漬けの素(鮭)。
愛用の茶碗にご飯をよそり、お茶漬けの素を振りかける。そして、お茶を入れようと、ポットを押した。
――ブシュ。
「…………ハツゥゥゥゥ!」
38歳、一人寂しい夜。