09/04 近藤勲
09/27 武市変平太
10/10 坂田銀時
10/31 志村妙
11/03 神楽
11/15 坂本辰馬
12/18 平賀源外
02/06 山崎退
真選組屯所、早朝。局長である近藤の部屋の障子がカラリと開く。
「おはよう、近藤さん」
「おお、おはよう。どうした、いやに早いじゃないか」
「今日は近藤さんの誕生日だろ?おめでとうを言おうと思ってな。それとまあ、プレゼントも」
「ありがとう、トシ!実は毎年何くれるか楽しみなんだよなあ。さっそく開けてもいいか?」
「ああ」
土方が贈ったのは刀の手入れに必要なもの一揃い。近藤は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「さすがトシ。ちょうど新しいのを買おうか迷ってたんだ。ありがとな」
「いいってことよ」
毎年、土方から贈られるプレゼントは近藤が何も言っていないにもかかわらず、その時に欲しい物とドンピシャだった。喜ぶ近藤だが、土方は長い付き合いで好みは熟知しているし、大体近藤はすぐに表情に出る男なので、実はそう難しい事ではなかったりする。
「けど、こんな朝早くでなくったっていいだろうに」
「まあ、そうなんだが、もうすぐ野郎が来るだろうからな」
「?」
近藤が疑問に思っていると、軽快な足音が近付きガラリと障子が開いた。
「おはようございやーす。あ、土方がいやがる死ねコノヤロー」
「一番乗りじゃなくて残念だったな、総悟」
ニヤリと笑う土方は誕生日の際に、沖田からロクでもないプレゼントを贈られている。これは、そのささやかな意趣返しでないこともない。
「おはよう総悟」
「おはようございやす。それと、お誕生日おめでとうございます」
プレゼントを渡す沖田は嬉しそうにしている。
「ありがとう、総悟」
「ささっ、開けてみてくだせーや」
「おうっ」
勢いよくプレゼントの包みを開けた近藤は何故か無言でそれを凝視している。不気味に沈黙する部屋。土方が呼びかける。
「近藤さん?」
「……え…ん……」
「?」
「おっ妙さーん!!愛してますぅー!!」
突如叫び出した近藤に土方は面喰らう。
「何贈ったんだ、お前」
近藤が手にしているのは、薄いフォトアルバムだった。土方が覗き込むと、中には志村妙の写真が幾枚も納められていた。隠し撮りと思われる道行く姿もあれば、正面を向いてしっかりと撮られたすまし顔の写真もある。
「総悟君どうしたのコレ!!」
「ふふ、万事屋に依頼したんでさぁ。初めは渋ってましたが、報酬弾むって言ったら、やつら大喜びで引き受けてくれましたぜ」
「そーか!その手があったかァァ!」
「ただし、注意事項がありまさァ」
「え?」
「いいですか、一枚たりとも絶っ対に外に持ち出しちゃなりませんぜ。もし、近藤さんの手に姐さんの写真があると知られた日にゃ、万事屋3人と近藤さん、それに土方さんの命がありませんぜ」
「ちょっと待てェ!何で俺なんだよ!」
沖田がニヤリと笑う。
「万事屋には二つ依頼してやしてね、一つは写真。もう一つは<写真の事がバレた場合、土方に頼まれたと言え>って依頼してあるんでさァ。連中ノリノリで約束してくれましたぜ。自分らの命もヤベぇのに」
「ふざけんな!あのメスゴリラ相手じゃ本当に命を落としかねんだろーがァ!」
「だから、近藤さんは4人の命を背負ってると言っても過言じゃねーんでさァ。まあ、俺は別にバレても関係ねーんですけど」
「え、いやちょっと」
「大丈夫、バレなきゃいいんですから」
にっこりと音がしそうなほど、とびっきりの笑顔。
「誕生日おめでとうございやす、近藤さん」
「う、あ、うん、ありがとう総悟」
後日、近藤は懐に隠し持っていた一枚をお妙さんに見つかりボコボコにされ、土方も人生で一、二を争う恐怖を味わうことになった。万事屋の3人も言わずもがなである。自業自得だが。そして、ちゃっかり一人無事な沖田だった。
『Happy Birthday!』
「先輩、誕生日プレゼントっス」
「拙者からも」
「……二人ともどういうつもりですか?」
二人が武市に差し出したのはカラフルな包装紙に包まれた誕生日プレゼント。仮にも江戸を転覆させようというテロリストにはあまりにも相応しくない。また子は肩を竦めた。
「あたしもどうかと思ったんすけど、万斉が贈るって言うから」
「まあ、今暫くは一緒にやっていく訳でござるしな」
「……ふむ、そういうことでしたら有り難く戴くことにしましょう」
また子のプレゼントを開けた武市の手が止まる。
「……また子さん、コレは何ですか」
「え?先輩 『10歳以下限定美少女カタログ2006』 嬉しくないっスか」
「貴女は何度言ったら分かるんですか!私はフェミニストだと言ったでしょう!」
「幼女限定の」
「違います!」
「武市どのはロリコンではないでござるか?」
「はい?」
『激撮!幼き少女たちの禁じられた遊び!』
題名からして、既にヤバイ感じが漂っているが、表紙はもっとヤバかった。
「……これ児童ポルノ法に引っ掛かるんじゃないっスか?」
「……万斉どの」
「好きなのでござろう?」
「だからァァァァ!」
「何やってんだテメーら」
「晋助様!聞いてくださいよ。万斉のやつったら」
高杉が問題の写真に目を向ける。過剰にピンクな表紙が目に痛い(色んな意味で)。
「……そういう趣味とは知らなかったなァ」
「拙者ではござらん。これは武市どのへの誕生日プレゼントでござる」
「ほぉ、人は見掛けによらねぇなァ」
「だから、違うって言ってるでしょう!」
「ハイハイ」
「流さな」
「それよりも、このカタログの女の子、可愛くないっスか?」
「まあ、確かに可愛い子ではござるな」
「けど、あたしには負けるっスよ。あたし、昔は、っていうか今もっスけど、すっごく可愛かったんスから。今度、写真持って来るっス」
「「別にいらない」」
「晋助様まで!」
一人仲間外れな武市。
「よかったら私の秘蔵のコレクションも」
「やっぱりロリコンじゃないっスか!」
『Happy Birthday!』
「銀さん誕生日おめでとうございます」
「銀ちゃん誕生日おめでとうアル!」
そう言って二人が差し出したのは、綺麗にラッピングされたプレゼント。当の俺はたぶんマヌケな顔をしていたと思う。
「俺に?」
「当たり前じゃないですか。今日は銀さんの誕生日でしょう?銀さんが忘れても、僕らが忘れませんよ」
「プレゼントは二人で選んだアル!」
「お前ら………ありがとな」
物凄く嬉しくて仕方がないのに、こんな時に限って素直に表現出来ない自分がもどかしい。祝ってもらっている俺よりも嬉しそうな新八と神楽に、何だかくすぐったい気持ちになる。
「そんじゃ、開けてもいーか?」
「あ!待つアル!」
「それは一人の時に、こっそり開けてください」
「何でよ?」
「それは開けてのお楽しみアル!」
「という訳で、これから僕ら出掛けますから、ごゆっくりどうぞ」
そう言ってさっさと玄関へ向かってしまう。
俺はそんな二人を呼び止める。
「あのさ、もしかして二人とも俺に気ィ使ってる?」
「違います」
「そーヨ。三十路を心ゆくまで味わって欲しいという、私たちの心遣いネ」
「まだ二十代だァァァ!」
ああ、あの顔はやっぱりそうだ。
二人とも俺に家族がいないのを知ってるから、気にしてるんだろう。別にいいのに。確かに誰かに祝ってもらったことなんて無いのだけれど。
俺はさっそく包みを開けてみる。写真立てと、何故か油性マジックが一本。写真立てにはこないだ撮った三人と一匹の写真が入っていた。散々ふざけた後、ラスト一枚は真面目にとか言って撮ったやつだと思う。ふわりと笑いたくなる、そんな笑顔。
「アイツら、だから急に写真撮ろうって言い出したのか」
もっとよく見ようと写真立てを持ったら、留め金が外れていたのか裏ぶたと写真が落ちてしまった。慌てて拾い上げると、写真の裏に何か書いてあるのに気付いた。
『万事屋銀ちゃん・ ・志村新八・神楽・定春』
定春は神楽が書いている。
「……なるほどね。マジックはこのためか」
俺は空けてある空白に『坂田銀時』と書き込み、写真立てに戻した。留め金もしっかりする。
「何が違うだ。……そんな心配いらねぇよ」
お前らとはもう家族だから。うちの新八にうちの神楽にうちの定春。もう他人として一歩引いて見ることなんて出来なくなってるから。
「ありがとう。新八、神楽、定春」
『Happy Birthday!』
今日は志村家で夕食を食べる神楽と銀時。しかし、今日の食卓を見てみると、いつもよりほんのちょっと豪華な食事。それもそのはず、今日はお妙の誕生日なのである。
「姉上、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、新ちゃん」
「姐御にプレゼントがあるネ」
「まあ、何かしら」
万事屋3人からのプレゼント。それは3人それぞれ手作りの「無料券」。言ってみれば、父の日や母の日の肩たたき券と同じようなものである。
「あの……お金が無くってこんなですけど、スミマセン」
新八が恐る恐るお妙の顔色を窺う。なぜならば、今までの頼み事だってお妙からお金を取った事は無い。と、言う事は、実質プレゼントは無いに等しい。その券を見ながらお妙はくすりと笑った。
「そんなこと無いわ。ふふ、素敵なプレゼントをありがとう。でも……銀さん、幾らなんでも「タダ券」って書いただけってどうかしら?神楽ちゃんも新ちゃんも凄く凝って丁寧に作ってるのに」
「いーんだよ、結局は同じなんだし」
「仕方ないわね。それじゃあ、せっかくだからさっそく使わせてもらおうかしら」
「何アルか、姐御。万事屋銀ちゃんにお任せネ!」
にっこりと笑うお妙。
「あそこにいやがるゴリラを赤い箱にして頂戴」
視線の先にはいつも、いつもの如くストーカーをしている某局長。
「え……赤い箱ってネウロに出てくる…サイの?」
「そうよ。あのゴリラを原形を留めなくするまでやらないと気がすまないわ。なんでもやってくれるんでしょ?」
「やるったって思いっきり犯罪じゃねーか!」
「アンタ、可愛い弟を殺人犯にするつもりですか!!」
「まずは自分の幸せが一番よ」
「うわ!言い切ったよ、この人!」
「な、なぁ。たとえば半殺しじゃ駄目かよ」
「駄目。それは私が既にやってるもの」
「……あの」
「ヨロシクね」
「…………」
(誰だよ!金掛かんなくていいって言ったのはよォ!)
(銀ちゃんアル!パチンコで金ねーからって言って!)
(そもそもあの強欲な姉上にタダ券なんてものあげるのが間違ってます!一体どんな無理難題を言われるか!)
(だったら、そんとき止めろや!)
(止めましたよ!それを大丈夫だろとか言ったの銀さんじゃないですか)
(お前こそ姉上は常識ある人だからとか言って!)
(結局どうするアル!)
(…………)
(…………)
* * *
後日、真選組屯所の前に赤い液体で満ちたガラスの箱が置かれ
「るわけねーだろォォォ!」
「ふふ、あと2枚。何をお願いしようかしら」
『Happy birthday!』
「お前の欲しがってた金箔まぶしのレア酢昆布。手に入れるのすんげぇ苦労したんだかんな。ちゃんと味わって食えよ」
「神楽ちゃん、お誕生日おめでとう。今日はいつもより腕を奮ったから、いっぱい食べていいよ。量もたくさん用意してあるしね」
「これ、私のお古なんだけど、どうかしら?神楽ちゃんならきっと良く似合うと思うの」
「ワン!」
「そこ座んな。プレゼント代わりって言っちゃあなんだけど、なんか好きなもんお食べ。どうせ、プレゼントは酢昆布なんだろ」
「サッサト故郷ニ帰レ」
「おめでとうございます。お隣ですし、お祝いに僕の店の花を……どうかしましたか?」
「リーダー、是非ともカレーを贈らせてくれ」
『おめでとう』←プラカード
「嬢ちゃん、誕生日なんだって?いや、銀さんが誕生日プレゼントをゲットするって張り切ってたからさ、パチンコ屋で」
「お誕生日おめでとう、神楽ちゃん。女になって銀さんに近付こうだなんてまだまだ早くってよ。その前に、銀さんと結婚するのはこの私なんだから」
「今日をテメェの命日にしてやるぜィ」
『神楽ちゃーん!お誕生日おめでとうぅぅ!来年こそはお父さん絶対神楽ちゃんに会いに行くから!だからお父さんのこと嫌いにならないで!』
* * *
パピー、私やっぱり地球に来て良かったネ。
今日はたくさん「おめでとう」をもらったアル(ムカツクのもいるけど。)
いつもはおめでとうを言ってくれるのはマミーだけで、それで充分幸せだと思ってたけど、今はもっともっと幸せな気分ネ!
あ、心配しなくても大丈夫ヨ、パピー。今はパピーのこと信じてるから、嫌いになんてならないネ。だけど、来年はきっと会いに来てネ。約束ヨ!
みんな、ありがとうアル!
『Happy birthday!』
眼下に青き地球を望みながら、航路を行く快援隊の商船。
陸奥が坂本の自室に入ると、部屋の主は珍しくもでせっせと書類に目を通していた。
「随分熱心じゃな」
「まあ、次の商談はデカイき、少しばか頭に入れちょこうと思うての」
「普段もそれくらい精を出してくれればいいんじゃが」
「で、何の用じゃ?打ち合わせは終わっとろう?まだ、なんかあったがか?」
「仕事の話じゃなか」
そう言われて陸奥に連れられ着いたのは、普段商談にも使用する応接室の前。
「陸奥?誰か客でも来ちょるんか?」
「入れば分かる」
見慣れたいつもの部屋には酒と料理がテーブルへ所狭しと並べられている。そして、それらの料理にそうそうに手を付けて怒られてる見間違いようの無いくりんくりんな銀髪と、小姑宜しく叱り付けているウザイと評判の長髪の二人組。
「金時とヅラじゃなかか!おんしらなんでこげんとこおるか?!」
「ヅラじゃない桂だ!」
「テメー金時、じゃねーや銀時だっつってんだろーが!いい加減にしやがれコノヤロー!」
「あっはっはっ。侍が細かい事を気にしちゃあかんぜよ!」
金時と間違えられて数十回、どころか三桁にすらいきそうな銀時は、幾度も無く繰り返されたやり取りにため息をついた。
「ったく。そこのな、ねーちゃんに連れて来てもらったんだよ」
「陸奥に?」
「そ。是非おいで下さいませってな」
「銀時は普通に船で来たからよかろうが、俺なんぞ荷物扱いだぞ。暑くてたまらんかったわ」
「だからお前指名手配犯だろつーの!これただけでも感謝しやがれ!」
「何を言う!陸奥殿には桂特製エリザベスピンバッチを差し上げたわ!」
「うっわ、いらねー!」
二人は盛り上がる。しかし、訳が分からない様子の坂本に、桂が愉快気に笑った。
「まだ分からんか。今日はお前の誕生日だろう?」
坂本は驚いて振り向くが陸奥は少しも表情を変えない。
「次の船の時間になったら呼びに来る」
そう言ってさっさと出て行こうとする陸奥の背中に慌てて声を掛けた。
「陸奥!サンキューじゃ!」
「……ふん」
パタンとドアが閉まる。
「……よい仲間だな」
「まあのう!」
「それに有能だし、ぜひ俺の部下に欲しい逸材だな」
「何を言っちょう!陸奥はわしの会社の社員ぜよ!ヘッドハンティングはお断りじゃ!」
「冗談だ」
「で、あのねーちゃんからのプレゼントは気に入ってくれたわけ?」
陸奥が用意したのは気心が知れたかつての友との一席。
その粋な計らいに坂本はにっかりと笑った。
「もちろんじゃ!さー今日は飲み明かすぜよ!」
『Happy birthday!』
かぶき町の大通りを何本か入った、細い道にあるからくり堂。
「じーさん、いるかァ?」
「銀の字か」
「何やってんだ?」
平賀は頭からすっぽりと帽子を被り、物陰に隠れている。
「この間ちぃとばかり派手に暴れたろ。もしやと思ってな」
「一応、指命手配犯の自覚あんだな」
「まあ、取っ捕まっりたかねェな。で、わざわざ何の用だ」
「クリスマスには少し早いけど、まあ、プレゼントってやつだ」
その手には、超辛口酒“鬼嫁”が。
「……お登勢から聞いたのか」
「あ?」
「俺の誕生日」
「まあな」
「じゃあ、クリスマスプレゼントも頼むな」
「イヤイヤ、これ誕生日兼クリスマスだから!もう無ぇよ!」
「冗談だ、阿呆。俺なんざどうでもいいからガキどもになんか買ってやれ」
「んー、まあ後でな」
「なんだ、もう買ってあんのか」
「……うっせぇからな」
「ブハハハ!可愛くって仕方がねェってか」
「違ェよ!」
「ま、大事にしとけ。ガキなんざあっという間にデカくなって、どっか行っちまうもんさ」
「……じーさん」
「飲んでくか?」
「少しだけな」
『Happy birthday!』
朝。
「局長、おはようございます」
「おはよう、山崎」
「朝早くにすみません。例の件、決済印を戴きたいんですが」
「ああ、急がせて悪いな」
「いえ」
「んー、よし。これでいいだろう」
「有り難うございます。失礼しました」
「あー、待て待て山崎」
「はい?」
「誕生日おめでとう」
「局長!え、いいんですかコレ!」
「たいしたもんじゃないが、使ってやってくれ」
「すいませんありがとうございます!」
「気にするな。これからも宜しく頼む」
「はい!」
* * *
昼。
「失礼します」
「山崎か」
「何かありましたか?先日の報告書なら、今日中に出せるとは思いますが……」
「違ェよ。そっちは明日でも構わねェ」
「ホントですか?助かったァ。今日、試合の予定入ってたんですよね」
「試合?」
「ええ、ミントンサークルの」
「…………まあ、ちょうどいいか」
「はい?」
「誕生日なんだろ?持ってけ」
「え、もしかしてプレゼントですか?」
「他に何に見える」
「いや、なんか意外っていうか」
「お前にはいいモン貰ったからな」
(……まあ、局長と沖田隊長に比べればマシだったよなぁ)
「それじゃあ、有り難く戴きます」
* * *
夜。
「山崎ィ」
「わっ!あ、ちょっとォ!……ああ、もう!沖田さん、人が字を書いてる時に邪魔しないでくださいよ!」
「なに言ってやがる。敵に背後取られるなんざ、殺してくださいって言ってるようなもんじゃねーか」
「いやいや、そういう問題じゃないですって。……アレ?今日夜勤でしたか?」
「山崎、ん」
「はい?」
「お前、今日誕生日なんだって?」
「え、はい。そうですけど」
「ほらよ」
「うわっ!プレゼントなら投げないでくださいよ!」
「細けぇこと言うんじゃねぇよ」
「全然細かくないですから!って……コレ」
「なんでェ、俺のプレゼントが気に食わねェのか」
「え、いや、まさか、そんなことあるわけないじゃないですか。見てもいないんですし」
「だったらもうちっと嬉しそうな顔しろィ」
「いや十二分に喜んでますとも!」
「ふうん」
* * *
沖田隊長が去った後、プレゼントの包みを開けて俺はため息をついた。
<今日貰ったプレゼント>
ラケット:2本 シャトル:5個
×3!
……有り難うございます。
けど、これから先も俺にはミントンしかないってことですかっ?!