オーストリア・セミナー参加
〜 ♥ 〜〜四方山話〜〜 ♥ 〜
――――――――――2005-6-20――――――――――
船着場から町への入口 ♥
セミナー参加は 夢・目指す道への一歩でもあるのです。
オーストリアでのツィターセミナはウィーンから列車で3時間ほど掛かる所で行われ、
どうしても前泊しなくてはなりません。それなら一日どこか見物してから、、、と思い、
有名なヴァッハウ渓谷(ドナウ河)への船着場、ドゥルンシュタインを訪れる事にしました。
ドゥルンシュタイン駅 ♥
重々しい駅舎はあるものの、駅員は居らず ホームも無く、砂利の中にレールが二本走っている
そんな ドゥルンシュタインに列車は到着。
ドナウの散歩道 ♥
ここは中世からの家並み・石畳・教会などがそのまま残されており 趣の深い小さな町です。
川幅広く ゆったり流れるドナウ沿いの散歩道の脇には野の花々が色鮮やかに咲き乱れ、時々観光船が川面を静に過ぎ行きます。船着場から町にはトンネルの様な城塞の階段を数十段登ってようやく出られます。
森和子さん ♥
一通り街中とドナウ沿いを散歩してしまったので 17世紀まで建っていたという お城の廃墟に上ってみる事にしました。
人一人通れる山道を登る事約20分、岩山の城跡に着きました。先客が8名ほど、中の一人が手を差し伸べて
てっぺんへ引き上げてくれました。景色を堪能した人は、順繰りに降りてゆきます。最後の人にカメラのシャッターをお願いして写してもらったのが この写真です。
一面の葡萄畑(中央上の方が城の廃墟 / 左端は教会塔)
〜「荒城の月」をおもう〜 ♥
ドナウ河を挟んで両側なだらかな丘はすべてぶどう畑、そう ここは上等の白ワインの産地なのです。
野に摘んだ花 ♥
帰り道、野の花を摘んで花束を拵えたことも楽しい思い出です。野生の矢車草が色鮮やかなブルーで印象的でした。
ドナウの散歩道の写真を見ていただいて、次はセミナーでの出来事をお話致しましょう。
セミナーでは開催期間中 ツィターの楽譜の出版社が出向いて楽譜を展示・販売します。大都市でもこれだけ
充実した品揃えの店は無いので ウィーン・ザルツブルグ方面からも関係者が買いに訪れます。
ある日私も10冊程選んで買い求めました。その中に このゼミの主催者で作曲家・ツィター演奏もする
A.ザゲーダー氏のお作がありました。
翌日 朝食の折 偶然にも氏と隣り合わせましたので、その事をお話しますと、
『他にはどんな曲を?よかったら明日私の部屋に来ませんか すこしアドバイスしてあげられるかも知れないから』 と。
約束通り部屋を訪ねて5曲のアドバイスを頂き、お礼の印に と 私の作・編曲の楽譜を差し上げました。
友へのお土産には自作譜が一番喜ばれるし価値もあるから と 何部かは用意して行ったものの、
ザゲーダー氏には予定外で 急遽 その朝 コピーして用意したのでした。
『 ああ そお、これ ちょっと弾いて聴かせて』 と。
それで 臆せず数曲弾いてお聞かせしたのでした。そうしたら
『この楽譜 あの部屋に展示すれば良かったねえ!』
明日のお昼まででこのゼミは終了という今、すでに時遅し!
それで私はこう言ったのでした。
“来年展示させて頂けないでしょうか?”
『ああ いいですよ 是非そうなさい!』
これは私にとって大きな喜びですし、また誉れでもあります。
そして何よりも 楽譜を書く上での励みとなるものです。
ある時例の楽譜売り場で見ていたら インスブルックの音大のツィター教授と 60代と思われる男の方が
談笑しています。 教授が 『この方 日本から来ているんですよ』 と私を紹介しました。
『私はウィーンで活動していますが、日本の曲に関心をもっています、ツィターのために曲を書いている人
あるんでしょうか?』 と訊ねます。 “私、二年ほど前から 日本の歌をツィター用に編曲しているんです、
今の所私の他には居ないようです。少しお待ち頂ければ部屋から楽譜を取ってきて差し上げますが。”
3曲 コピーしたものを手渡すと、
『楽譜は貴重なもの、お代を取って下さい』
“弾いて頂けるだけで嬉しいので、勿論代金など要りません。”
『では私のCDをお送りしましょう、住所を書いて下さい』
セミナーの後ドイツのミュンヘンに行く予定でしたので、そちらのホテルの住所も記して別れました。
ミュンヘンに移って数日後 約束通り一枚のCDが同封された手紙が届いたのでした。
読んでみると ウィーン式ツィターで演奏に、セミナーの指導者としても 大活躍している有名な人なのでした。
ツィターには 調弦方法がウィーン式とミュンヘン式の二種類あり、現在はほとんどがミュンヘン式で行われています。
解り易く言うと、ある音が一オクターヴ高かったり 低かったりする程度の差
日本に帰ってからそのCDをゆっくり楽しんで聴いて、丁寧に感想を記し、私の作品も新たに加えて郵送したのでした。
やがて あちらから曲への印象など伝える手紙あるいはメールが届くことでしょう。
こうして ツィターを通じて 人と人の穏やかな輪が広がってゆくのです。
ウィーンの高級レストラン ”Griechen Beisel"に行くと 日本のメロディがたまに聞けるかも知れません。
フォルクスムージアーベント/民族音楽の夕べ ♥
朝からそれぞれのカリキュラムに従っていくつものクラスで練習し、夕方6時 (とはいってもヨーロッパのこの時間は
まだ真昼間) 食堂で嬉しい夕食です。
ここは廻りの丘陵地帯が全て果樹園、”モスト”といわれるやさしく軽いワインで有名な所、飲み物はそのモストか
ビール、そして食事はバイキング方式で各自好きなものを好きなだけお皿に取ってくる という方式です。
みんな食欲旺盛で よく食べる、私もその一人。
胃の譜にかなり収まってテンポが落ちた頃、隣のお髭をたくわえた男の人 なにやら取り出して私に見せる、
“あら、折り紙の蛙と とんぼ!”
かえるは指先でちょっと抑えると ピョン と跳ねる、ピョンピョンピョン、トンボも本当の赤とんぼ位の大きさで
実に良く出来ている。
“これ日本の折り紙でしょ?あなたの趣味?”
こんな所でわが故郷日本の伝承文化 折り紙を趣味にもつ人と出会うなんて と 感激した出来事でした。
折り紙愛好者はかなり居るようで、ドイツ語の本も何冊か出ているとか。
『夕飯が済んだら R.ヨルダン氏の部屋で彼の演奏を聴かせて貰うんだけど、よかったらあなたも どお?』
“まあステキ、是非わたしも!” というわけで お髭さんにくっついてヨルダン氏の部屋へ。
ヨルダン氏はオーストリア ツィター界でも有名な演奏者・教授・詩壇での活躍は独自の世界を切り拓いている
という巨星。 さすが!と感じ入る演奏を目の当たりで聴く事ができて、”耳からの食後のブランデー”でした。
ツィターオーケストラ/コンサートの
直前の練習がこれからはじまる ♥
最終日は参加者がそれぞれの先生の下で練習した曲を披露する ”マチネーコンサート”
自分の出番だけは さすがに皆も緊張するようですけど、せいいっぱいやったという満足感と暖かい雰囲気に包まれて
2時間のコンサートも終わりました。
昼食の席で来年の再会を約し別れを惜しみます。
いよいよ本当にお別れという段になると 皆が順繰りに堅い握手をして回るのです。
オーストリアとドイツからの人がほとんどで、アジアからは私ともう一人の日本人 総勢70名が参加していました。
一週間お世話になったお城のセミナー会場を後に、ラップスという菜の花が一面黄色に咲き パッチワークの中に居る様な丘陵地帯をタクシーで駅へ向かいました。
心はすでにこれから向かう ドイツ・ミュンヘン へ。
旅の行程半分が済んだところですが、あまり長くなってもいけませんので、そろそろおしまいにしようと思います。
用意して行った曲をW,Huber氏のもとで推敲作業する一週間、100年以上続いたツィターオーケストラの
楽譜資料の話、有名な ヴィースの教会を訪ねたら折りしも挙げられていた結婚式の話、壁絵の町
オーバーアマルガウの今、どれも印象的 思いで深いものでした。
ここ十年あまり毎年出掛け、また手紙・メール・電話などでのおつきあいを通して感ずることは、国民性も確かに
あるけれど、それよりも一人ひとりの人間性に拠る事の方が大きく、言葉や国は違っても全ては個人の人柄に
帰する といったことを感じます。
これからも誠意をもってツィターの友人達との交友を深め、日本の美しいメロディを日本から
発信したいと思っています。
♥ 音の森サロン / 森 和子 ♥