学会発表


私は薬物動態の分野で研究していますので、薬物動態研究での学会発表について紹介します。ここで記載している内容はあくまで個人的な見解です。

どういう内容が発表できるかというと学会での発表ですから、未発表の新規の知見です。

新規の知見とは?

新しい化合物のデータ、これまでにない化合物のデータですので新規です。これは従来の評価法で調べただけということで、科学的評価は低いとされる傾向があります。しかし、新規化合物の情報ですから、新たな現象が見つかる可能性もあり、科学的な新規性もあるかもしれません。通常評価での結果もその化合物の特性を示す情報になりますので、それ自身貴重な情報です。新しい定量法、定量法と言ってもこれまでになかった方法によって開発された定量法、例えば、今では当たり前ですが、液体クロマトグラフィーでUVで検出していたものが、検出器として質量分析計を使ったLC-MSを開発した。こういった新規の定量法は高く評価されます。ただ、ある化合物の定量法を作ったというだけでは高く評価されてません。より一般的、普遍的な技術になると高く評価されます。新たな現象の発見も新規知見です。あくまで現象ですので、調べていくと既知のメカニズムで説明できるということもあります。ある現象のメカニズムを解明することが新規の知見で、このメカニズム解明の関連することが研究の主流だと思います。例えば、酵素誘導ですが、誘導剤を投与していくと酵素が誘導されるという現象がみられます。この酵素誘導に核内レセプターが関与しているということを明らかにすることがメカニズム解明です。新しい化合物が誘導剤になるというのも新しい知見です。新しい技術開発も新規知見です。酵素誘導では肝細胞を用いてin vitro試験で誘導を評価する試験系をつくることが新規知見となります。また、in vitroからin vivoを予測する数学的モデルをつくることも新規知見です。色々な解析法、解析結果も新規知見です。M&Sという言葉をよく聞くと思いますが、M&Sはまだまだ一般的でないので学会発表されることが多くあります。すべてを取り上げている訳ではないのですが、新規知見とはまだ誰も発表していないことです。

では、どこの学会で発表するのか?

自分の研究分野の学術学会で発表します。薬物動態の分野では、薬物動態学会、薬学会、薬剤学会、臨床薬理学会、AAPS、ISSX等が関連学会です。


発表は口頭発表ポスター発表の2つがあります。


口頭発表

口頭発表は、スライドを使って話す発表です。
一般演題で申し込みします。シンポジウムはほぼ依頼講演です。
発表時間は大体8-12分程度でしょうか。
国内でも英語で発表する学会もあります。日本薬物動態学会は英語で発表、質疑は英語又は日本語となっています。
聴衆の前で発表するのでかなり緊張します。質疑が数問あり、うまく答えられないと失敗感を感じます。その分、達成感も高いです。
学生、アカデミアが多くします。企業の方の発表は少ない感があります。
他の研究者との議論をしたい場合はポスター発表の方が良いです。

ポスター発表
ポスター発表は、ポスターを貼って行う発表です。
一般演題で申し込みします。
大きな部屋にパネルを設け、そこにポスターを張り、所定時間、そのポスターの前に立って発表内容について質疑応答をします。
日本薬物動態学会は英語で作成、質疑は英語又は日本語となっています。
ポスター発表では、参加者自らがそのポスターに足を運ぶため、差が見られます。
企業の方の発表はポスターの方が相対的に多く、見に来る人も企業の人の研究が多いです。
ポスターは1日、半日貼られ、ポスターの前にも1-2時間立つことになるため、発表者との質疑の時間が多く持てます。


今回はここまで