PKパラメータ関係
ジェシカ - 03/04/14 14:35:29 |
Katoさん、一つ基本的なことを教えて下さい。文献では一般的にEHCが存在すると定常状態のVdが影響を受けるとあります。クリアランス、MRT、t1/2がEHCにより大きく影響を受けるのは、モデルを立てても明らかですが、定常状態のVdが影響を及ぼされるというのはもう一つ明確には理解できません。これは理論的に証明できるでしょうか? |
M Kato - 03/04/15 08:02:42 |
EHCとはextrahepatic clearanceと理解していいでしょうか。肝臓で代謝される場合でも分布容積に基本的には影響がでています。小さいので無視できるということです。簡単に言えば、筋肉に薬物が10行ったとして、代謝されない場合100mlの分布容積があったとします。代謝で5減り、10の内5だけ循環血に戻った場合は50mlとなる訳です。イメージできたでしょうか。 |
ジェシカ - 03/04/15 12:41:08 |
すいません。EHCは腸管循環のことだったのですが、ご説明されたことは腸管循環にもあてはまると考えてよいですか?ご説明いただいたことから派生して、更なる質問ですが、組織結合が同じで全身クリアランスが100倍違う化合物A、Bがある場合、これらの化合物を静脈内投与して得られたVssも実際には必ずしも同じになるというわけではないということでよろしいですか?今までVssは組織結合のみに依存するパラメータでクリアランスとは関係ないと思っていました。 |
M Kato - 03/04/18 00:51:56 |
ジェシカさん、腸肝循環があれば、分布容積は大きくなります。腸に行って、戻ってくるというプロセスを1つのコンパートメントと考えればわかりやすいでしょう。組織で代謝される割合が大きくなければ分布容積の変化を引き起こしません。代謝臓器のKp値が単なる臓器中濃度と血中濃度の比でないことと同じです。粟津先生の本を読むといいと思います。 |
トントン - 03/04/22 09:10:37 |
どうもありがとうございます。P450阻害と考えてよいのか自信が持てなかったものですから。ところで、話はかわりますが、下記で書かれている‘粟津先生の本’とは具体的に何という本ですか? |
M Kato - 03/04/23 08:00:57 |
すみません。粟津先生の本というのは、粟津先生と渡辺先生の共著の「薬物速度論の基礎」(広川書店)のことです。 |
写釈爵 - 03/03/14 10:36:58 |
ある化合物Aというものを投与した際の、内因性化合物Bの血中濃度を測定したところ、投与数時間後に投与0時間より血中濃度が低くなってしまいました。その後、再び上昇したのですが。こういう場合、AUCはどう計算するべきでしょうか?投与0時間より上の部分だけを足すのでいいのでしょうか?何か経験がありましたら、教えて下さい。 |
M Kato - 03/03/15 08:45:06 |
化合物Aが内因性物質Bになるのでしょうか。そう仮定して書きます。内因性物質も個体内変動があるでしょうから、上昇分を外因性と考えAUCを算出してクリアランスやBAを算出することになるのでしょう。この場合個体内変動の2SD以上を外因性と考えるとか、時間0の値を差し引かず、すべての値を使ってAUCを求め、Aを投与していないときのBのAUCを差し引く。いずれにしても個体内変動以上に増えているかどうかが重要でしょう。 |
yae - 02/12/13 14:58:09 |
通常の用法用量の範囲内の投与量で、投与量が増加するに伴って分布容積が増大する薬剤がありますが、その機序について教えて下さい。 |
M Kato - 02/12/13 18:28:47 |
この現象が起こる原因は2つあります。1つは分布容積は変化していないが、計算上増える。これは定量限界の問題で、高用量になると後ろの時間まで測定できるので、半減期の遅い相が見えてくると分布容積は変わって見えてきます。血漿中濃度を投与量で割って重ねて見て重なるようでしたらこれが原因です。もう1つは実際に分布容積が増大している。この原因はタンパク結合の飽和です。非結合型の薬物が組織に分布しますので、タンパク結合の飽和により非結合型薬物が増えますので、分布容積が増大します。 |
yae - 02/12/17 11:45:05 |
出張中でコメントが遅くなりまして、スミマセンでした。素人にも判りやすい説明をありがとうございました。また、疑問点がでましたら、カキコさせて頂きます。 |
yae - 02/12/08 13:42:51 |
素朴な素人質問で恐縮です。静注時のVdが1L/kgである場合、経口投与(F値50%)のVdは0.5L/kgとなるのでしょうか?。分布容積とは薬剤固有の数値であり、経口時でも静注時でも同じ分布容積であると認識しておりましたが、間違いなのでしょうか? |
M.kato - 02/12/08 16:47:29 |
分布容積は線形であれば、静脈内、経口投与に関係なく薬物固有の値です。Vd/Fが1L/kgでFが0.5であれば、Vdは0.5L/kgです。インタビューフォームの分布容積の項にVd/Fとなっている値は経口投与で求めた値で、静脈内投与で求めていないので、Fが掛かっていることになります。海外では経口投与の薬でも静脈内投与を行い、VdとFを求めているものもありますが、日本では経口投与しかやっていないため、Vd/Fでしか評価できていません。 |
yae - 02/12/10 17:09:55 |
ありがとうございます。くどいようで恐縮ですが、ある薬剤の経口投与時のデータから得られた数値が、CL/F=5L/hr、Vd/F=25Lであった場合、仮にF値が80%であればこの薬剤を静注して得られる数値は、計算上はCL=4L/hr、Vd=20Lとなるのでしょうか? |
M Kato - 02/12/11 00:56:18 |
yaeさんの言われる通りの分布容積、クリアランスと考えていいと思います。 |