薬物動態解析入門3−生理学的薬物速度論解析(講義と演習)
趣旨
薬物動態解析入門の第3弾、生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析です。PBPKモデルでは生体を模倣したモデルであることから、生理的機能が変化した際の体内動態変動を評価・予測することができます。In vitroからのin vivo予測、薬物間相互間相互作用予測、肝障害、腎障害時の体内動態予測、加齢による機能低下時の予測など極めて広範な予測を行うことができます。多くの方は、市販ソフトを用い、PBPKモデルを1から組み立てた方は、少ないと思います。本セミナーではPBPKモデルの基本とモデルを組み立てる際に必要なパラメータの取得と解析法を解説します。簡単なモデルからモデルを組み立て、シミュレーションを行い、シミュレーション結果を解析することにより、設定パラメータを算出するという演習を繰り返し行います。実際にデータをとり、解析を行い、PBPKモデルによるシミュレーションを行うことを疑似体験してもらいます。他の解析法も「こういう繋がりがあるんだ」と理解が深まります。
初中級、中級向き
(コンパートメントモデル、非コンパートメントモデル解析の知識が必要です。)
1. 薬物動態解析における生理学的薬物速度論解析
2. 組織クリアランスの考え方
(1) 組織クリアランス、抽出率、アベイラビリティ
(2) 組織モデル
肝臓モデル
Well-stirred model, parallel tube model, dispersion model, 5-compartment model
腎臓モデル
(3) PBPKモデルで必要なパラメータ
Rb値、血漿非結合型分率、肝固有クリアランス、糸球体濾過速度
(4) 演習
Fhの計算
In vivoデータからのFh, 固有クリアランスの計算
血流律速、固有クリアランス律速の薬物の変化
3. 分布容積
(1) Kp値と定常状態分布容積
Kp値は分布試験のT/Bでない
VssとVzの関係はここから始まる
(2) 演習
定常状態分布容積の計算
タンパク結合率変化による薬物動態変化
3. モデルの組み立て
物質収支式の組み立て方
肝だけのフローモデル
肝+筋肉
肝+筋肉+脳(排出トランスポーターあるなし)
モーメント、デコンボリューションによるパラメータの算出
4. 質疑応答