薬物動態解析入門−コンパートメント解析(講義と演習)

 趣旨

医薬品の開発にモデリング&シミュレーション(M&S)が益々重要になってきており、臨床においてはガイドラインが策定されている。M&Sは、臨床ばかりでなく非臨床においても重要であり、創薬段階から薬効・毒性予測、ヒトにおける薬物動態予測、薬物間相互作用予測に利用されている。しかしながら、MSを担う人材が不足しており、M&S担当者の確保・育成が急務と考えられる。本セミナーは、M&Sを担う薬物動態研究者を育成することである。

薬物動態解析にはコンパートメントモデル解析、モーメント解析、生理学的薬物速度論モデル解析、PK/PD解析等、モデルを用いない簡単な解析から複雑なモデル解析まである。高次の解析法を理解するためには、基本的な解析法の習得が必須である。本セミナーでは薬物動態解析の基礎となるコンパートメントモデルについての講義と演習を行う。 

セミナー内容

1. モデリング&シミュレーション 

医薬品開発におけるMSの有用性

 

2. コンパートメント解析とは

モーメント、PBPKモデルとの違い 

コンパートメントモデルの有用性

 3. コンパートメントモデル 

静脈内

1-コンパートメントモデル

2-コンパートメントモデル

マルチコンパートメントモデル

4. ラプラス変換について 

ラプラス変換による微分方程式の解法 

演習 

 

5. 吸収プロセスを含んだモデル

経口、インフュージョン

反復投与

蓄積比 

 

6. 薬物動態パラメータ

クリアランス、分布容積、AUC、半減期

 7. プロットによる解析 

残差法、シグママイナスプロット 

8. 最小二乗法 

最小二乗法について

残差平方和、アルゴリズム、重み、赤池の情報量基準(AIC

ソルバーの使い方

演習

9. 数値計算

ルンゲクッタ法

シミュレーション例(線形、非線形)

演習 

9. 解析の実際

解析解と数値積分によるシミュレーションの使い分け

うまく解析できない例 

10. 演習

11. 質疑応答